エヴァンゲリオンのハイレゾを過去の音源と聴き比べてみた結果【EVANGELION】

「音楽配信」という形がメインになってしまい、今ではCDを買う機会ってかなり少なくなっていますね。

ハイレゾがCDより、スペック上では圧倒的に勝ることはいろんなところで語りつくされています。

でも聴覚上の違いって正直よくわかりませんよね。

「CDとハイレゾってどんな音の違いがあるのかわからない」

そんなお悩みの解決をしていきます。

比較音源は「エヴァンゲリオン」と「ヱヴァンゲリヲン新劇場」のサウンドトラックから。

選んだ理由は、

  • 過去のCDと「リ・マスタリング」したハイレゾで明確なちがいがあること
  • とにかくエヴァンゲリオンが好きだから

この2つです。

とにかくエヴァが好きなんです。笑

今回は、「エヴァンゲリオンのハイレゾを過去の音源(CD)と聴き比べする」というテーマでお伝えしていきます。

エヴァの音源を「波形」と「聴き比べ」の両方から比較していくなかで、ハイレゾとCDの違いを体感していく。

それぞれの音源が持つ良さを理解できます。

配信の最大の良さは「ハイレゾ」とよばれる音源が楽しめること。

ハイレゾをざっくりいうとCDでは再現できない音域成分などを「原音により近いカタチ」でロスなく音源化されています。

「CDはもう価値がないの?」

となるかもしれませんが、そんなことはありません。

ハイレゾ、CD、レコード、カセット。音源別で比較をしてみたよ」でもお伝えした通り、各音源それぞれに良さがあります。

追記:エヴァンゲリオン好きが高じて記事自体がかなり長くなっています。。

ハイレゾやCD音源のよさ、リ・マスタリング後の良し悪しなどを細かに書いているためです。

それでも見ていただければ幸いです。

エヴァンゲリオンのTVシリーズと旧劇場版

エヴァンゲリオンといえば、約26年もの間多くのファンに愛され続けてきた伝説的な作品です。

ストーリーは「一度見たくらいではわからない、むしろ何度繰り返してみても難解でわからない」というレベル。

それでも「面白い!」となるので、まるで「神話」のような魅力に溢れています。

それに付随する音楽も、聴いた人に何かしらのインパクトを与えるくらい良くって。

一度聴けば「あ、エヴァの音楽だ」と耳に残る印象的なメロディーです。

物語の内容があたまの中でイメージできて、聴いている人を高鳴らせるような熱気もある。

そんなエヴァンゲリオンのCDは1995年の初盤から、何度も再販や再収録が繰り返され、2013年に「ハイレゾ」としても配信が開始されました。

ハイレゾについては以下でまとめているので参考にしてみて下さい。

ハイレゾに対応していないイヤホン、ヘッドホンはハイレゾを再生できるの?

一応、知らない方に向けてハイレゾ化されたエヴァンゲリオンのアルバムを網羅してみます。

  • NEON GENESIS EVANGELION【2013 HR Remaster Ver.】
  • NEON GENESIS EVANGELION II【2013 HR Remaster Ver.】
  • NEON GENESIS EVANGELION III【2013 HR Remaster Ver.】
  • THE END OF EVANGELION

の4枚。

一番最初の1995年に発売された「TVシリーズ」3枚と、1997年に発売された「旧劇場版」からの1枚がハイレゾ化されています。

いずれも190kHz/24bitと高レートサンプリング仕様。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズ

続いて新劇場版。

こちらのサウンド・トラックもCDとハイレゾの両方が存在しています。

「:序」「:破」「:Q」オリジナル・サウンドトラックとして2008年、2009年、2013年にそれぞれ発売されています。

2014年に一挙、ハイレゾとして配信開始。 

レートサンプリングは96kHz/24bit。

新劇場版は映画で実際に使用された「劇用サイズ」のアルバムと、それらの楽曲を本来の尺で納めた「フルサイズ」アルバムの2種類が存在します。

ハイレゾは基本的に前者の「劇用サイズ」で、ヴォーカル曲など含めて一部の音源は入っていません。

かわりにCD盤にはなかった「初音源」など、数曲がリストとして組まれています。

以下が、新劇場版シリーズのハイレゾ音源とフルサイズのCD盤リストです。

ヱヴァンゲリヲン新劇場:序

  • evangelion:1.0 you are (not) alone original sound track【2014HR Remaster Ver.】

ヱヴァンゲリヲン新劇場:破 

  • evangelion:2.0 you can (not) advance original sound track【2014HR Remaster Ver.】

ヱヴァンゲリヲン新劇場:Q

  • evangelion:3.0 you can (not) redo original sound track【2014HR Remaster Ver.】

の太字、3タイトルがハイレゾ音源になります。

  • Shiro SAGISU Music from “EVANGELION: 1.0” YOU ARE (NOT) ALONE.
  • Shiro SAGISU Music from “EVANGELION: 2.0” YOU CAN (NOT) ADVANCE. SPECIAL EDITION [Disc 2]
  • Shiro SAGISU Music from “EVANGELION: 3.0” YOU CAN (NOT) REDO. [Disc 1、2]

の3タイトルはCD盤のみのフルサイズで収録されたアルバムです。

CD盤とハイレゾでは何が違うの?

実際にハイレゾとして過去のアルバムが「リ・マスタリング」されていますが、ぶっちゃけ音って変わるの?

そう思われるファンの方もいると思います。

結論から言えば、CDとハイレゾで確実に音は変わってきます。

そう言える理由の一つとして、マスタリング作業をしている方がCDとハイレゾでは違うという点。

マスタリング作業とは端的にいえば、音源としての質感や音圧を調整する最後の工程。

音を整える作業なので、ここを調整するエンジニアが変われば当然音の質感も雰囲気も多少なり変化してきます。

TVシリーズ、新劇場版シリーズ含めて、ハイレゾ化された際のマスタリング・エンジニアは、ハリウッドの女王なる異名を持った「パトリシア・サリヴァン」という方が作業をされているとのこと。

ここでポイントなのは、一度マスタリングを施して完成したものに”さらなる時間をかけて”「リ・マスタリング」されていること。

ハリウッドのマスタリング・エンジニアが、エヴァの音楽を再調整しているので音の変化もとても感じやすい。

エヴァの音楽を作曲している鷺巣詩郎 氏も「素晴らしい付加価値さえも与えてくれた」と称賛するほどの仕上がりなんです。

エヴァンゲリオンのハイレゾを過去の音源と聴き比べ

で。

実際に聴いてみるとたしかに音の雰囲気が違う。

パトリシア・サリヴァン 氏は過去のTVシリーズも、リ・マスタリングされているということで、さっそく聴いてみました。

CD盤のサントラでも十分な迫力はありましたが、ハイレゾ音源だとその迫力により拍車がかかっています。

各帯域にメリハリがついていて、洋画の重厚なイメージ

エヴァの音楽、とくに新劇場版は何回かに分けて録音された音を複数重ねてあるとのこと。

なのでより濃厚な音が耳の中で響き渡ります。

ハイレゾの恩恵も相まってか、重厚なサウンドの中にも「美しい余韻」と「音の濃密さ」があるので聴きごたえは抜群。

リ・マスタリングによる「音の質感の変化」がエヴァの世界観にとてもマッチしていています。

ストーリが頭によみがえるほど。

それはTVシリーズのハイレゾでも同じことが言えて。

むしろこちらの方が音の質感も雰囲気も変化は大きく感じます。

一聴してすぐ気づくのは「音の音圧」

そして現代的な「音の響き」がなによりの特徴。

最初のアルバム「NEON GENESIS EVANGELION」が1995年に発売されましたが、そのときの音源っていまのHI-fiなサウンドと違って、音の音圧が低い印象の音源が多かったんですね。

「NEON GENESIS EVANGELION」を例に、音を波形にしてみました。

1995年盤 Track15「EVA-02」
2013年ハイレゾ配信 Track15「EVA-02」

同じ音源でも実際に可視化してみると、これだけの変化があることを確認できます。

全体的に音量が大きくなっていますし、波形が太くなっている印象。

それが「音圧が高い」という感覚につながります。

それがマスタリングによって調整された結果なんですね。

後述しますが、このマスタリングによる調整で音の質感をガラッと変えてしまうんですね。

1995年盤はどちらかといえば「味付けが少ないマスターそのものの音」

むしろ、音源自体はそこまでマスタリングというマスタリングはされていないのかもしれません。

2013年のハイレゾ配信だとどういう変化があるのか。

味付けが少ないマスターそのものの音から、

「現代的な音の響きと映画的な迫力を加えた音」

というイメージです。

実際に聴いてみると、それがよくわかります。

音圧が低く感じる95年盤と比較しても、かなり音圧が高めになっていて、そこだけでも音の印象に変化があります。

両者を比較した場合、一聴してすぐに音が良いと感じるのは「ハイレゾ」の方です。

先ほどからお伝えしている音圧もそうですし、各帯域の絶妙なリ・マスタリングで迫力も増しています。

ここでポイントなのが、ハイレゾ化にともなう音源の再調整で「もとの音源の質感自体はあまり損ねていないこと」です。

音の質感ってなに?

音の質感について、わかりやすいようにもう少し深掘りしていきたいと思います。

CDが普及し始めたころの音源

青色の波形部分が「ダイナミックレンジ」とよばれていて、グレーの枠の中に余裕をもった調整がなされているのが確認できます。

波形のギザギザにも強弱があるので緩急をもった音が楽しめます。

このダイナミックレンジがグレーの枠の中を超えてしまうと音が割れるなどの現象が起きてしまうんですね。

これが最近の音楽だとどうなのか。

最近のとあるj-popの波形

これはかなり極端な例ですが、2曲を波形として見てみるとその違いは明白です。

こんな風に波形のギザギザ部分が極端に少なく、波形の先端が潰れてしまっています。

いわゆる「海苔波形」ですね。

細かく波形を拡大していくと、音のピークは迎えていないので音割れはしません。

ようは波形のギザギザ部分を何度も圧縮して、波形が小さくなります。

波形が小さくなればそれだけ余裕ができるので、また増幅ができる。

これを繰り返すことで音量は高くなりますが、確実に元の原音の質感とは違ってくる

それは良くも悪くも。

なぜ元の音源の質感を損ねてまで音圧を上げるのかといえば「一聴したときに高音質に感じるから」です。

すべてではないにしろ、音圧を上げる前の原音とは確実に質感が損なわれている曲を聴いていたんですね。

CDもハイレゾも楽しめる

話をエヴァに戻すと。

TVシリーズのハイレゾばんをもう一度見てみます。

2013年ハイレゾ配信 Track15「EVA-02」

波形の先端が極端に潰れることもなく、枠ギリギリまで音を増幅し、音の各帯域を調整している印象です。

ただ単に圧縮をかけずに増幅しただけなら、マスタリングする前の音の質感が保てています。

なのでハイレゾ音源ではオリジナルの質感を保ったまま、新たにハリウッドのエンジニアの手によって「迫力のあるサウンドが加えられた」という結果になるんですね。

そうなると「CD盤はもう聴く価値がないの?」と問われればそんなことはなく。

もちろんCDにはCDにしかない価値があります。

先述した波形の関係でみると、1995年盤のCDはかなり余裕をもった仕上がりです。

無理に音圧を上げていないナチュラルな状態でCD化してあるので、どうしても音は低く感じます。

けれどボリュームを上げれば音圧は確保できるので問題ありません。

むしろ、音に味付けをしていない「ピュアな質感」なのであるいみ貴重ともいえます。

CDとハイレゾでは繰り返しお伝えしている通り、「音の質感」がちがうのでどちらにも良さがあって聴いていて楽しいですね。

CDやハイレゾなどの音源の良さについてはこちらで詳しく書いているので参考にしてみて下さい。

ヱヴァ新劇場版は?

新劇場版は元々がデジタルな質感が強いので、印象的にはTVシリーズとは変わってきます。

演奏者の数やスタジオ、録音方法などもTVシリーズとは変わっているとのことなので、印象が変わっているのは当然ですね。

ハイレゾは曲の終始部分の余白を適正な長さにカットされています。

なのでタイムだけ見てもハイレゾとCDでは曲の長さが変わっているのが確認できます。

(曲そのものに変更はないのでミックス違いなどではありません)

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」でとくに目を引くのが美麗な「映像」だと思います。

それは”音楽”でも同じで。

旧作のスコアを新劇場版でも随所に使われていますが、映像と同じくよりブラッシュアップして「リビルド」されています。

(音質うんぬんを抜きにして、その音楽を聴けただけでもエヴァファンとしては感激でした。笑)

新劇場版シリーズの音楽のイメージとして、より壮大で神秘的に、日常の幸せとその崩壊、恐怖感、威圧感、また立ち上がる強さなど。

TVシリーズよりもっと濃く、音楽面でも”再構築”されているのが聴いていて伝わってきます。

唯一、聴いていて「あれ?」と感じた曲が複数あってそれが「:Q」のサントラ盤です。

「:Q」だけは「音割れ」してしまうものが複数確認できました。

ハイレゾ配信だけに見受けられて、わかりやすい曲の例を1つ挙げると

「17-3EM16_QuatreMains_60sec」です。

カヲル君とシンジがピアノを連弾するシーンのあの曲ですね。

FOCAL UTOPIAヘッドホンでも確認していますが機材の影響ではなさそうです。

CD盤「17-3EM16_QuatreMains_60sec」
ハイレゾ配信「17-3EM16_QuatreMains_60sec」

先述した通り、リ・マスタリング自体は「音楽に新たな付加価値を与えるほど」にいい音と感じるものです。

音割れを感じるのは曲冒頭の部分と、40秒くらいのピアノが弾けるような場面。

その部分を波形で見ると、厚みがあり先端が潰れてしまっていますね。

CDでは波形が潰れることなく細く細くてきれいな形をしているのがわかります。

何かしらの意図があるとは思いますが、ボク的には「:Q」の音楽もかなり気に入っているので、いつの日かノイズのない完全なハイレゾ盤を聴いてみたいですね。

エヴァは観ても聴いても楽しい

エヴァの楽しみ方って映像と音楽の両方からできて、一度映像を観たらサントラを聴いてエヴァのストーリーを思い返す。

そんな風に、映像と音楽をとことん味わい尽くすような楽しみ方もあるんです。

映像をみて、音楽を楽しむ。つぎにもう一度映像で見返してみると、音楽が自然と耳に入ってくるので作品全体のイメージも増してくる。

ボク自身、エヴァにハマったきっかけは「破」からなんです。

かなり遅れてエヴァという作品を観ましたが、それでも何度も見返して音楽を聴いているうちに、感動の仕方も変わってきて。

「:破」のサントラも毎日のように聴きこんでいました。

んで、もう一度「破」を観たんですが、最初に観たときよりもストーリーと音楽の両方から細かく楽しむことができて。

「:Q」なんかも同じで、ストーリー的にこれぞエヴァってくらいに難解なものでしたが、何度も何度もくり返しみて聴いているとなんとなく全体がつかめてくる。

そして音楽が熱い。

そんな楽しみ方ができるわけです。

終わりに

映像と音楽が両立しておもしろい作品ってそんなにないと思うんです。

「エヴァ」に関してはそこをクリアした数少ない作品だと感じています

CDのサントラ盤もハイレゾも気分によって聴き分けていますが、まったく飽きが来ません。

何度聴いても感動が起こるんですね。

できればレコード盤もどんなサウンドか確認したかったですが、入手困難なので泣く泣く見送りました。

また入手出来たら追記したいと思います。

エヴァンゲリオンという作品は「かなり難解で何度みてもわからない。けど、なぜかとにかくおもしろい」と言われたりします。

それは的を得ていて。

それでも物語に引き込まれる深みがある。

そんなエヴァンゲリオンという作品をもっと楽しむために、音楽という一面からも深掘りしてみる。

そうすることで、より深くエヴァという世界観を楽しめると思います。