世界最強といっても遜色ないくらいのレベルで音楽を奏でてくれるFOCALのヘッドホン。
開放型のUTOPIAと密閉型のSTELLIAはボクのヘッドホン沼からの脱却をいとも簡単に実現してくれたわけなんですが、これらのヘッドホンを含めて、これからFOCALのヘッドホンを狙いたいって方も多いと思いうんです。
ただそこで障壁になるのが、その価格帯。
とにかく高い。
まぁ高いといってもそこには当然相応の理由があるわけで、「高級ヘッドホンと安いヘッドホンでは何が違うの?隠された真実を徹底解剖。【ヘッドホン篇】」でもお伝えした通りです。
それでも新品で買うと考えたらやはり足踏みしてしまいます。
そこでボクも含めて考えつくのがヤフオクなんかで中古として購入しようと思い立つわけです。
でも中古で買うことで思わぬトラブルが潜んでいるんですね。
これはFOCALヘッドホンに限った話ではなく、「中古」で出回っているものの注意点があるのでそこをお伝えしていこうと思います。
中古で買うメリット

欲しいヘッドホンや、ヘッドホンに限らず特にオーディオの世界では新品で買うより中古で買って機材を入れ替える方もいると思います。
もちろんボクもその一人。
中古で買うメリットといえば
- とにかく元値より安く手に入る
- 音質が気に入らなければすぐにまた中古として売りに出せる
- 時間が経てばまた新しい機種が欲しくなるので中古がいい
- 一つ一つを安く買って数を容易に揃えられる
- 壊れてもそこまでの損失がない
などが考えられます。
オーディオ製品って基本的に高価なものが多いから、いろいろきっちり機材を整えようとするとどうしても出費が大変なことになる。
そこで中古を探して狙った機材を手に入れようとします。
基本的に中古であっても動作に問題がなく、自分の手元に届いてもスムーズに使えます。
中古で買ってはいけない理由

でもね。
冒頭でもお伝えした通り、意外な落とし穴があてボクは見事にそこにハマった経験があります。
それもよりによってFOCALの超ド級ヘッドホン「UTOPIA」でです。
この他にも2500円くらいのイヤホン3本くらいが「動作に問題ない」の説明でうまく鳴らなかったり。
海外製品を中古で輸入していざ箱を開けると本体のプレイヤーがベコっと凹んでいたり。
(ただ単にボクの運がないだけかな…?笑)
まぁ、いろいろ中古で痛い思いをしてきたのですが、UTOPIAについてはより詳しく中古で買う危険性を掘り下げてみます。
ハウジングやヘッドバンドの傷

やっぱりFOCALといえば設計から生産までを「自社」でできるという数少ないメーカーです。
しかもスピーカーが本業のメーカーで、その技術を惜しみなく注ぎ込んで作られたのが「UTOPIA」であり「STELLIA」なわけなんですが、そこに込められた風格がすでに製品写真からもビシビシと伝わってくる。
ボクは最初、TOPIAを中古で買ったのですが、現物が届くとハウジングやヘッドバンドは傷と手垢汚れまみれ。
イヤーパッド淵には汚れがたんまりたまっている。
ヤフオクのページには一応写真は載っていましたが、やっぱり現物をよく見ると写真では確認できなかった傷や汚れがあるんですね。
なのでその点でまずは気落ちしてしまう。
汚れは何とかなるにしても、傷はどうにもできないので。
イヤーパッドの傷み

で。
次に気になったのがUTOPIAの魅力の一つ、「ラムレザー」を使って作られたイヤーパッド。
レザー部分にミクロパンチを開けて、音響特性と掛け心地の両方を追求されたもので、その部分の傷みも気になりました。
見た感じはしっかりしてるけど、なんだかシワが目に付くんです。
そして、イヤーパッドからはちょっと鼻につく、汗の匂いなんていうオマケ付です。
から拭き程度では汚れも匂いも取れず、掛けてみてもべた付いた感覚が抜けない。
あえなく、替えのイヤーパッドを注文しましたね。
ドライバーを損傷しているケース

これが致命的でした。
まぁ、中古を選んだ自分が悪いわけだし外観が少し劣化していても音がよければ問題はないと思っていました。
そこで実際に鳴らしてみるとなんだか違和感があるんです。
明らかに左右の音質差がある。
ボクが使っている機材側の問題かと疑いましたが、UTOPIAの到着前に音出しの確認をしていたのでそれが原因ではなかった。
日を改めて聴きなおしてみてもやっぱり音圧差が気になります。
そこでFOCALヘッドホンの修理依頼をしてみようと思い、日本代理店のラックスマンに問い合わせてみました。
保証も切れていて、中古で購入した旨を伝えて修理自体は受け付けてくれましたが、肝心のドライバーユニットの在庫がなくフランスから取り寄せるとのことでした。
数週間後、やっと修理が終わって手元に届いてやっとUTOPIAを楽しめると少年のようにワクワクして開封したのを鮮明に覚えています。
修理に出した結果
ピカピカになって帰ってきたUTOPIA。
ヘッドバンドや筐体は見事に磨かれ、まるで新品のような艶を取り戻していました。
イヤーパッドは事前に取り換えていたので安心して使えます。
内部の汚れもきれいに清掃されて外観に関してはかなり満足できるレベル。
で、肝心の音を聴いてみると
「???」
悪くないけど、まだ左右の音圧差があるような気がして腑に落ちません。
左右聴き比べても以前よりはっきり音も出ている。
でもまだ違和感があるんです。
UTOPIAは「ウルトラ・ニア・フィールド・スピーカー」とFOCALが提唱しているように、より鮮明にスピーカーで音楽を聴いているかのように再現すると知りました。
なので、機材の不調なんかも露にすると考えたんです。
現に真空管アンプをメインで使っていたので、真空管の微妙なバランスが原因かもしれない。
そう思って、友人の音楽環境でUTOPIAを鳴らしてみたんです。
するとやっぱり音に違和感がある。
友人も同じくその違和感に気付いていました。
再度、ラックスマンに送り確認してもらったところ、微妙に音圧差があるとの事で左右のドライバーユニットを丸々交換してもらいました。
さぞ、とんでもない修理費かと覚悟しましたがなんと無償で対応してくれたのでそこが唯一の救いでしたね。
(ラックスマンの修理担当の方、あの時は神対応を本当にありがとうございました。。)
新品を買おう

中古で買ってはみたれど最初の修理費やらイヤーパッドの交換、ラックスマンへの送料なんかを考えると結局、新品を買ったのと変わらない費用になったわけです。
この経験からよほど貴重性が高いものでない限り、中古で買うのはやめようと決断した出来事でしたね。
特に、高額商品となれば。
いま改めて考えれば、FOCAL UTOPIAってデザインから内部の作り込み、ドライバーユニットの最適な位置調整まで随所にメーカーのこだわりが反映されているんですね。
それを中古で手に入れようとする時点で、そういった風格や新品だからこそ味わえた喜びや感動が薄れてしまう。
現に今でこそ、新品と遜色ないサウンドを奏でだしてはいても、初めて手にして時の音は劣悪でした。
最初のUTOPIAを手にしたときの感動が中途半端になってしまったんですね。
なのでこれからもしFOCALヘッドホンが気になる、UTOPIAを手に入れたいと考えている方がいたら、ぜひ中古ではなく新品で購入されることをおススメします。
これまでお伝えした通り、中古で買う場合は現物を実際に手にして、聴きてみない限り、それが本当に完動品なのか、あるいは細かい傷や汚れが付いていないのか分からないんです。
商品ページの詳細や写真でははっきりわからないことが多いですし、「動作に問題はありません」と記載されてはいても、それが嘘だった場合、こんな事態にぶち当たる可能性も大いにあり得ます。
幸いにも無事に音もなり、出品者の方との和解もできたので事なきを得ましたが
そこまでにたどり着く手間暇と労力は結構しんどいものでした。
何を伝えたいかといえば、中古で買うこと自体は悪いことではなくって、どんなに気を付けていても今回のようなハズレを引いてしまう可能性が少なからずあるわけです。
ならそんな危険性がついて回る中古を買うより、新品を買った方が手にしたときの喜びも、安心感も格段に上がるのでその事を頭の片隅にでも憶えていてもらえたらなと思います。
終わりに
よりにもよってFOCALヘッドホンで痛い目を見るとは思っていませんでしたね。
冒頭でもお伝えしましたが、安いイヤホンでも中身のドライバーが片方がダメになってていて、それによる音圧差に出品者が気付かず出品していたケースもあります。
当然、見た目からでは判断がつかないので聴くまでそれが壊れているなんて分からないんですね。
あとは真空管なんかもそう。
安く手に入れたけど、写真の通り外観は美品。
でも特性を検査してみると内部でショートしていたり。あるいは著しく寿命が尽きかけてたりすることもあるんです。
よく確認しなかった自分の不注意と言われればそれまでですが、どうしても商品ページだけでは判断できない部分があります。
なので、そういったトラブルに合わないためにも、今回の記事が少しでも購入する際のお役に立てれば幸いです。