イヤホンとヘッドホンでエージングは必要?ガチで120時間鳴らし込んでみた結果

「エージング」って言葉をオーディオが好きな方なら、一度くらいは聞いたことがあるかなと思います。

買ったばかりのイヤホンやヘッドホンは本来の音が出ない、正確にはその本領を十分に発揮できない。

または同じ製品でも”個体差”があって、エージングをする事で内部の振動板を鳴らし込んみ、その個体差をなくそうっていう作業ですね。

だからエージング、いわゆる慣らし運転をある期間だけ行って、本来持っている性能をフルに安定的に発揮させようという事です。

確かに新品の状態のイヤホンだったりヘッドホンは一定時間、通電させることでトータルとして若干なり変化があるかもしれません。

ボク自身、実際にやってみたんですが結果から先に言えば「イヤホン、ヘッドホンにおいては基本的にエージングによる変化はあまり感じられない。

っていうのが正直な感想です。

全ての機種とは断言できませんけど、巷で言われている「音が良くなった」や、「最初は好みの音じゃなかったけど、今は好みの音に変化した」などのエージングで得られた感想をちょくちょくネット上で見かけます。

うーん、それってただ単に時間をかけて聴いたことによる「耳の慣れ」なんじゃないかなって思ってるんです。

実際にエージングによる効果は科学的にも証明されていないみたいなんで、ちょっと眉唾的な一面もありますね。

実際に、自分のイヤホン、ヘッドホンを新品の状態からそれぞれ120時間くらいかけて鳴らし込んでみました。

なのでその結果報告もかねて、今回はオーディオにおける「エージング」っていうテーマを掘り下げてみようと思います。

エージング結果:イヤホン編

(今回のテーマと合わせたかのように、いいタイミングでイヤホンを新調してたんです。笑)

それがfinalの「Piano Forte Ⅹ-T」と呼ばれるモデルです。

社名がfinal audio design時代から「金属3兄弟」なんて愛称で呼ばれていた、「Piano Forte」シリーズ。

その当時から現在まで脈々と進化を重ねて、finalの個性が込められたイヤホンですね。

今回のは「Piano Forte」シリーズでは最新の”Ⅹ-T”です。

実は金属筐体のモデルはこれまで使った事がなくて(どれも高いんです…)、安価モデルの「Piano ForteⅡ」は発売当時から今まで10年くらい愛用しています。

ぱっと聴いた印象は、「ライブ会場の最前列で聴くような音」です。

どの帯域がどうのっていうレベルじゃないですね。

女性ヴォーカルの吐息の生々しさなんて尋常ではありません。

これが開封して一番に鳴らした印象です。

あえて言うなら、潤工社製のシルバーコート採用ケーブルと内部の仕様も改善させたとの事で、高域が澄んでいて、このイヤホンの代名詞「クロム銅」からもたらされる特有の”深みある音場”です。

ドライバーユニット部分、振動板も大型の16mmなので完璧に駆動するには、エージング効果があるかもと思い、時間を見つけてはひたすら鳴らし込みをしてみました。

ずっと聴いていた訳でなく、耳の慣れを防ぐため日をおいて短時間の視聴です。

同じ曲、同じ環境で120時間鳴らしましたが、最初に聴いた印象とほぼ変わらないですね。

なにか特定の帯域が変化するでもなく、相も変わらず良い音です。

エージング結果:ヘッドホン編

続いて、ヘッドホンはFocalの「Stellia」です。

Focal超ド級の「Utopia」と同等の振動板をもっていて、Utopiaが開放型なら、Stelliaは密閉型になります。

この2機種に共通しているのは「ベリリウム振動板を搭載している」っていう事ですが、これが少々鳴らしにくいんですね。

「エージングをしないと硬質な印象が抜けない」って言われることもあるんです。

これって鳴らす環境で大きく違ってくるんですね。

どのイヤホンやヘッドホンでも同じかもしれませんが、FocalのUtopia、Stelliaはこの影響がでかいです。

ドライブ力は必須でこれの有り無しで音が決まってくるといっても過言ではないです。

ドライブ力の低いアンプやプレーヤー直刺しだと本来の音とは違ってくるんです。

この辺に関しては

Focal Utopiaヘッドホンの実力をフルに発揮!オススメの真空管アンプとは?

を参考にしてもらえればと思います。

んでね、

その辺も考慮してStelliaを同じく120時間ほど鳴らし込みしてみました。

最初の印象としては、密閉型なのでUtopiaほどの空間表現はさすがに難しい。

それでも質の高い音場、落ち着きのある低音域とパワフルな中域。

Utopiaの面影をいろいろ感じ取れる音作りは、密閉型の理想形ともいえるヘッドホンに個人的には感じるんです。

これまた、イヤホン編と同じく鳴らし込みによる変化が聴覚上ではほぼ感じられない結果でした。

むしろ先ほどから触れいている、環境による変化が大きい。

イヤホンより大型のヘッドホンでもその辺りの違いは判別し難いんですね。

エージングで効果のあるもの

じゃあ、オーディオにおいて、エージングは何の意味もないの?

って疑問が上がってくると思うんですけど、もちろんエージングを行う事によって効果が表れるものがあります。

それが「真空管」です。

特にNOS(ニューオールドストック、新古品)だとよりエージングが必要になってきます。

とにかく信号を入れて、真空管を動作させる。

真空管が温まったところから音が良くなるって言われるのは、電極間のギャップが熱により適性値になるからなんですね。

真空管関係だと、自作した真空管アンプはエージングで音が変わります。

使用したコンデンサーだったり、配線材だったり、それらに通電することで本来の性能を発揮し始めます。

ある時を境に劇的に変化するので、そこを聴きとれると面白いですね。

あとは、ケーブル類で「単線」と言われるタイプは通電させ続ける事で、音質変化を得られたりします。

エージング方法

それでもエージングをやってみたい。

っていう方もいると思いますので、ボクも試した方法なんかを具体的に上げていきたいと思います。

  1. いつも通り自分の聴いている音楽環境に繋いで鳴らし込む
  2. ホワイトノイズやピンクノイズを鳴らす
  3. 専用のCDやアプリを買う

が手軽にできる方法です。

1.「いつも通り自分の聴いている音楽環境に繋いで鳴らし込む

が最も簡単で長期間しっかり鳴らし込めるのでエージングをするならこれがオススメです。

何より自分が使っている機材と馴染ませるという意味からもこれがベストかもしれませんね。

2.「ホワイトノイズやピンクノイズを鳴らす

そもそもホワイトノイズやピンクノイズって何?って話ですが簡単に言えば、

ホワイトノイズが、「すべての周波数において強さが一定になるノイズ」

ピンクノイズが、「1オクターブごとの強さが一定となるノイズ」

正直、何のことだか分らないんで、具体例をあげると

ひと昔前のテレビで流れた砂嵐音「サー」っていうイメージの音。

あれがホワイトノイズです。

自然界の音、木や草原の草が風に揺られた時の音に近くて、それだとイメージがしやすいかもしれません。

それでいて、ピンクノイズはホワイトノイズよりも豪快な音で「ザー」っという音のイメージです。

周波数に反比例して、高い周波数の音ほど弱くなるノイズです。

同じ周波数成分を持つ光がピンク色に見えるため、ピンクノイズと呼ばれる所以です。

このノイズはyoutubeでも音源としてあるので試しやすいですね。

3.「専用のCDやアプリを買う

2.のホワイトノイズ、ピンクノイズはもちろん、クラシック、ジャズ、ポピュラーの優秀録音音源も組み合わせて収録されていたりするので、左右の高低音をまんべんなく再生できます。

がっつりエージングしたい方には専用のCDやアプリがオススメです。

まとめ

結果的にイヤホン、ヘッドホンではどんなに長い時間鳴らし込んでもエージングによる効果は得られずでした。

ただ、100%音に変化がないと断言ができないのも事実。

人によっては聴き分けられる方もいるかもしれません。

(ボクの耳では体感できませんでした…汗)

イヤホン、ヘッドホンにおいて音質変化を楽しみたい場合は

  • プレーヤーを見直す
  • イコライザーを使う
  • 外付けのアンプ(ポタアン)を使う
  • 良質なDAC搭載のものを選ぶ
  • リケーブルする

なんかがエージングよりはっきりとした音の変化を得られるんじゃないかなぁって思います。

それと、エージングを試してみる時の注意点としては、音量の上げ過ぎなど、イヤホンやヘッドホンにダメージが入るような状態で鳴らすのは避けたほうが良いです。

その状態で聴くのが一番危険です。

【危険】「大音量で聴くヘッドホン、イヤホン。気付かない間に忍び寄る”難聴”の影」

に詳しく書いています。

エージングを意識し過ぎて、機種本体を傷めたり、耳を悪くしたら元も子もないので、あまりそれに囚われないで気に入った機種を使うのが一番かなと思います。