「純銀線」
リケーブルをしていればほとんどの方が目にする機会があると思うのですが、純銀線にどんなイメージを持っていますか?
「高域がキラキラしすぎて好みじゃない。」
「全体的に透き通った音が心地よくてとてもいい」
など。
いろんな意見があると思います。
そんな純銀線を使ったケーブル「イヤホン」「ヘッドホン」「XLRケーブル」「アンプの配線材」の4つに的を絞ってそれぞれでどんな音になったのか。
そのレビューをしていきたいと思います。
純銀線を音楽環境に組み込みたい。そう考えている方がいればぜひ参考にどうぞ。
純銀線の特徴って?

レビューをしていく前に、そもそも「純銀線」ってどんな線材なの?
まだ純銀線を導入する前で、具体的なイメージがわかない。
そんな方もいると思うので「純銀線」の特徴をまず振り返ってみます。
純銀線というくらいなので、まさに「貴金属」と表現してもいいレベルの配線材ですね。
価格も相応に高価なものが多い印象。
純銀線には純度があって、よく「4N」などの表記で記載されています。
あれは銀の純度を示したもので4Nであれば「純度99.99%以上」という意味ですね。
この世で一番「電流損失」が少ない元素が銀で、音の色付けがなく信号を届けることができる。
なのでアンプの内部配線なんかにもとても向いています。
音自体は「高音域の煌びやかな伸び」な印象が一般的には根強い印象。
けれど、細い線径の純銀線だと「高音域」だけが伸びてしまうんです。
これが太くなるとどうなるのか。
それは、ある一定の帯域ではなく、すべてにおいて信号損失の少ない、ピュアなサウンドを鳴らしてくれるんです。
純銀線比較

ここから純銀線による音質評価をしていくわけですが、
- イヤホン「4N純銀線の8本編み」
- ヘッドホン「4N純銀線の16本編み」
- XLRケーブル「5N純銀シールド線」
- アンプ配線材「5N純銀シールド線」
の4つです。
あまり線径の細いものは選んでいません。
先ほどもお伝えした通り、さすがの純銀線であっても細くなってしまえば「高域のみが強調」されてしまうからです。
なのである程度太めか、編み込みの線材を選んでいます。
イヤホン「4N純銀線の8本編み」
イヤホンで純銀線を使うと「音の厚み」だったり「高音域」が強調されすぎて聴き疲れを起こしてしまう。
それくらいクセが強い音になりがちです。
そこでイヤホンで扱える太さとしてはギリギリのサイズまで編み込んで使っています。
「効果は抜群」で高音域のキラキラ感がそこまで強調されることもなく、沈みこむタイトな低音域と伸びの良い中音域。
センターにバッチリ決まるヴォーカル域は聴きごたえがあります。
銅線だけのケーブルよりも、ボクなら8本編みの純銀ケーブルを選びますね。
それくらい、イヤホンの性能をワンランク上のサウンドで鳴らしてくれます。
また純銀線は銅線よりも柔らかく、取り回しに関してもストレスなく扱えるのがポイント。
シルバーの美しい輝きのケーブルで、持つ喜びも味わえるので「イヤホンのリケーブル」としては一つの完成形のようなサウンドが体感できます。
ヘッドホン「4N純銀線の16本編み」
イヤホンでは全帯域バランスよく鳴らしてくれた純銀線ですが、ヘッドホンになると少し物足りなさを感じます。
一聴してしてすぐに気づくほどの「音の抜け」と「音場の広さ」に耳が心地よくなる。
解像度も申し分ない。
ヴォーカルがより前に出て、どのケーブルよりも聴き取りやすく際立っています。
なのでヴォーカル域が好きな方であれば純銀線のみの構成が一番しっくりくるかもしれませんね。
ただし、解像度と広大な音場を得られる代わりに、音は遠く感じるんです。
低音域の張りもかなり弱めなので「hi-fiなサウンド」かと言われればそうではなく。
広大な空間ではあるけど、薄い音とも言えます。
けれど。
純銀線のみの音ではこんな印象ですが、これに「金メッキ」を施した線材。
つまり、純銀線16本編み、そのすべてに「金メッキ」が追加されると音の印象がガラリと変わります。
詳しくはここで書きましたので参考にどうぞ。
yotamblog.com
どこまでも美しく響き渡る高音域、耳元でリアルに歌い上げられるヴォーカル。
ダンピングの効いた低音域の迫力に気持ちが高ぶります。
XLRケーブル「5N純銀シールド線」
続いて、アンプとDACをつなぐXLRバランスケーブル。
こちらは5N純銀線の「単線」。線材の周りをシールドで覆われていますが、なんとそのシールドにまで銀メッキが施されています。
ここまでくると、もはや本当の貴金属でね。
全体をシールドでコーティングされているので外部からのノイズにも強い仕様なんです。
これまでのXLRケーブルとはまるで比較にならない音質。
実にクリアで「雑味」が感じられないんですね。
どこまでも伸びる高域ははいたって透明。
ヴォーカル域には色気すら感じます。
そして分離の良い低音域。解像度もバッチリです。
XLRケーブルでこれほどの変化を体感できるってなかなかないと思うんですね。
アンプ配線材「5N純銀シールド線」
ボクは据え置きのアンプにフルバランスの真空管アンプを使っています。
で、その真空管アンプの内部配線を一部純銀線化したんです。
信号が入る入り口と出口部分までの区間、そのすべてをXLRケーブルと同じ仕様の「5N純銀シールド線」で統一しました。
こうすることで音の色付けがなく、微細信号をノイズレスで届けることができます。
そして、同種の金属になるので「異種金属の結合」による音質劣化も激減できる。
ちなみにハンダも「純銀」なのでとにかく音質重視。
で、実際に出できた音というのがXLRケーブルで体感したような音をさらに昇華させたような「ピュア」でどこまでも澄んでいる。
でいて「全体的に厚みのある音域」も併せ持つので、音楽の熱量もありのまま再現してしまう。
普通はアンプの内部まで純銀線化などしないので、あまり参考にはならないと思いますが、音の通り道をほぼすべて「純銀線」にすることで他では聴けない、そんな音を鳴らしてくれます。
総じて雑味のないピュアな音

でね。
ここまで各所に「純銀線」を試してみたのですが、レビューする中で共通するワードがあります。
そこに気付かれた方もいるかもしれません。
純銀線の恩恵として「雑味のない澄んだ高域」「広大な音場」「空間表現」「分離感のある低音域」
さらに太い線径であれば「音の厚み」と「弾けるような低音域」加わってくる。
信号損失が少ない特性もあるので、原音により忠実なサウンド聴ける。
そんな純銀線の恩恵もあります。
ただし、すべてはトータルバランス。
機材同士の総合的な相性がオーディオにはあります。
すべての音楽環境で、この純銀線の恩恵が受けられるかといえば一概には言えません。
けれど。
そこをある程度考慮しても、太い線径の純銀線であれば相応の音質変化は得られるとボクは考えています。
終わりに
純銀線の導入となると少し敷居が高く感じられるし、音のレビュー記事なんかみていても
「キラキラした高音域が好きになれない」
そんな意見もかなりあります。
確かに「線径の細い」純銀線であれば、まともに鳴らすことができず、ただ高域が高鳴るだけかもしれません。
これはボクの実体験からもそう感じます。
でも音楽環境と、ある程度太い純銀線であればそんな問題をクリアにしてくれる。
それほどの音を鳴らしてくれるわけです。
むしろ、いちど純銀線の良さを知るとほかのケーブルに目がいかなくなる。
他と比較しても、音楽の表現力がいいんですね。
純銀線はそんな可能性を潜在的にもっています。
もし純銀線の導入に悩んでいる方がいたら、ボクはその方の背中を押して、純銀線をオススメしたいですね。