ボクは「アナログレコード」の音がとても好みで日頃からよく聴いています。
好きが高じて再生するだけではなく「デジタル化」して、いつでもどこでもレコードの音が聴けるようにプレイヤーに入れて持ち運んでいるんです。
レコードのデジタル化も結構奥が深くて、ただ単純に音源化するだけなら直ぐにできてしまう。
でも音源の「質」を極めていくなら、簡単そうに見えて難易度は高かったりします。
特にレコードなどのアナログものには必ずといってもいいくらい付いて回るのが「ノイズ」です。
もちろん、そういったノイズがあってレコードの音に「味わい」が出ます。
ここではそういう「良いノイズ」じゃなく、耳障りな「プチパチノイズ」のことを指すんですね。
これをクリーニング「するか」「しないか」でデジタル化した時の音質にも圧倒的な差が生じてきます。
レコードのノイズって?

レコードに馴染みのない方であれば「ノイズってどんな感じのものなの?」
そういう疑問の声が聞こえてきそうですね。
レコードには大まかに分けて2種類のノイズがあって、冒頭でもお伝えした
「良いノイズ」「耳障りなノイズ」
がレコードなどのアナログ媒体には付いてきます。
- 良いノイズ
レコードはプレイヤーで盤を回転させて、任意の場所に針を落とす。
針を落とした盤の溝から音をトレースしていきます。
その「針」がレコード盤をなぞる音だったり、レコード全体に元々ある特有の「サー」っていうノイズを「良いノイズ」とボクはそう考えています。
いわゆる「ヒスノイズ」ってやつですね。
好みは分かれますが、このノイズがレコードの醍醐味だなと思うんです。
総じてアナログの空気感を醸し出してくれるノイズで、「レコードの味わいを感じられる象徴的なノイズ」なので、むしろ好んでそのノイズを楽しみたい方もいるくらいなんです。
かくいうボクもこのノイズが好きで、なるべくそのノイズを保ったまま音源化していますね。
- 耳障りなノイズ
盤に付着したこまかい埃やチリ、静電気なんかを針で巻き込んでしまって発生するノイズのことです。
「プチっ」「パチっ」
と瞬間的に鋭くノイズが入るのが特徴的ですね。
「クリックノイズ」や「クラックルノイズ」と呼ばれているノイズです。
これがなかなか厄介で、レコードの表面上を念入りにクリーニングしていても、目には見えにくい埃なんかが結構残っていたりします。
レコードを聴く方なら大体の方がぶち当たる悩みだと思います。
このノイズ除去のために、いろんなツールを駆使しながら「いい音」を目指して再生しているんですね。
デジタル化した後でも取れるの?

で。
ボクの場合であれば先ほどからお伝えしている通り、レコードの音をデジタル化して持ち運んでいます。
レコードの音源としての良さというのは「ハイレゾ、CD、レコード、カセット。音源別で比較をしてみたよ」でも書きましので、ぜひ参考にしてみて下さい。
そんなデジタル化した後でも、「音声編集ソフト」などを使用すればある程度のノイズ除去は可能です。
波形状に表した音声信号を目と耳で確認しながらノイズを見つけていきます。
ノイズの箇所はだいたい波形部分が振り切れていたり、波形の流れから飛び出しているので見つけやすいですね。
そんな目視ができるくらい、大きい瞬間的なノイズを「クリックノイズ」と呼びます。
音楽を再生する中で、わずかに「パチっ」と聴こえたりしますが、波形にはどこにあるのか分からないくらいの小さいノイズがあります。
それが「クラックルノイズ」になります。
なぜデジタル化した後に取らないほうが良いの?

デジタル化した後でもノイズは取れます。
ボクも初期の頃はクリーニングで取れなかったようなノイズ、それも膨大な数をひたすら耳だけをたよりに、すべて手動で除去していたような時期があります。
目立つクリックノイズであればなんら苦労はいりません。
でもどこにあるのか分からないようなクラックルノイズであれば、波形をひたすら拡大して耳で確認しながら取っていました。
当然、一曲あたりにかかる時間もかなりのものでしたね。
(一曲あたり4分程度にまる一日かけたようなときもあります。笑)
そんなことをチマチマやっていた時に、レコード音源にハマるきっかけとなった友人に久しぶりに合う機会がありました。
ちょうどその友人が作ったレコード音源を持ち合わせていたので聴かせてもったんです。
その音源を聴いて唖然となりましたね。
デジタル化したプレイヤーの機種は違えど、レコード盤も編集ソフトも同じです。
なのに友人が作った音源は「解像度」「静粛性」「情報量」この
全てにおいてまったく違っていたんです。
それも一聴しただけで気づくレベルで。
何が違うのか確認していった際に気付きましたが、ほぼ全くというくらいに
デジタル化した後のノイズ除去をしていませんでした。
あとで分かったことですが、いくら手動で耳障りなノイズを除去していったとしても、音楽の一部としてノイズが入ってしまっている。
なのでそれを除去するということは、「音の成分も一緒に削り取っている」ということなんです。
なので少しでも曲中のノイズをとれば、それだけで音源が「劣化」してしまうことにつながるんです。
これがボクと友人の作った同じ音源、同一曲であっても「差」が生まれた大きな原因の1つでした。
クリーニングに力を入れた結果

でね。
それ以来、音源の劣化につながるデジタル化後の「ノイズ除去」は一切しなくなったわけです。
ただ、これまで通りのやり方でデジタル化したら音源が「ノイズの嵐」になってしまう。
とても音源として落ち着いて音楽を楽しめない。
じゃあ、どうノイズを処理していくのか。
それは、デジタル化する前の段階で「いかにクリーニングを徹底できるか」
その一点のみです。
このクリーニングをどれだけ的確にできるかで、デジタル化した後の仕上がりに大きな差と完成度の高さを生み出せます。
クリーニングがうまくなされた盤であれば、耳障りなノイズなど感じさせませんし、いらないデジタル処理を施していないので音源の鮮度も抜群なんですね。
クリーニング方法は?

では実際にどうやってクリーニングしているのか。
クリーニング方法としては多種多様にあるし、ある意味「一つの宗教」といわれるくらいにそれぞれで方法とクリーニング法があります。
ボクの場合であれば、スプレータイプのクリーナーと専用クロスでとにかく磨き上げる。
友人が超音波洗浄をもっているので、「ここぞ」というレコードにはこれも合わせて使っています。
基本的にこの2つがメインの洗浄方です。
人によっては直接洗ったり、水につけたりしている方もいますが、貴重なセンターラベルが傷むのでボクはやりません。
クロスは目地の細かいものを。
できればメガネ拭きをレコード用で一枚持つのも良いかと思います。
コツとしては、クリーナーを盤に直接ではなくクロスに吹きかけて磨いています。
理由としては、クリーナーがセンターラベルに付着して劣化することを避けるためです。
レコードって「見る楽しみ方」もできて、いまのCDやデジタル配信では味わえない魅力があって大切に扱いたくなりますね。
とにかく力を入れることは避けて、円に沿って中心から外へ。
グルグルとレコードの溝に沿って汚れを落としていきます。
ポイントは静電気を発生させないくらいのスピード、そして力加減が大切になってきます。
力が入るとクロスの繊維がとれて、逆にレコード盤の汚れが広がることになります。
優しく丁寧に素早く磨く。
うまく磨き上げれば、レコード盤自体にかなり艶と輝きが戻ってくる。
そして仕上げとして3回以上の全面再生をしています。
どんなにクリーニングしても溝に詰まった汚れは残ります。
なのでそれを針ですべて掻き出してしまう。
それが以外に大切なクリーニングの要素かと思います。
クリーニングして繰り返し再生をしたら、針に付着するゴミの量も激減してきます。
ちなみに、針は清掃用で別で用意して使っていますね。
終わりに
繰り返しにはなりますが、レコードのデジタル化自体はそこまで難しくはありません。
けれどデジタル化した音源の質を高めていくとなると「難易度は上がる」
そうお伝えしてきました。
音声編集ソフトを使うのは音圧調整と、曲の終始を整える程度で
「ノイズ除去」はしない。
なぜなら、ノイズ除去をした時点で「音が劣化してしまう」
からなんですね。
こういった手間ひまも「アナログの良さ」であり、「深み」なのでぜひ楽しみながらデジタル化を進めてみて下さい。
それでは。