ヘッドホンを買おうと思ってどんな仕様なのか。
だいたい箱の裏側に小難しく、いろいろな仕様が書れています。
それを見る方は多いと思うし他にもドライバーの種類など、そのヘッドホンを使う上でどんなメリットがあるのか。
各メーカーの特色がいろいろ表示されています。
そんなヘッドホンの仕様も大切なんですが、もっと気になる部分が「インピーダンス」などのスペック表示。
慣れてない方であれば何のことかもわからないし、オーディオの敷居を上げてしまう要因になりかねません。
実際にボクもその意味を知るまでは特に意識することもなく、ただ「何となく」でヘッドホンなどを使っていました。
結論から言って、インピーダンスそのものには基準や目安といったものはないですね。
一言で言うのであれば「各機種によって変わるから」なんです。
インピーダンスって何?

そもそもインピーダンスがなんなのか。
イヤホン・ヘッドホンを何度か購入された方なら見覚えがある言葉かもしれません。
でもこれがなにを示したものなのかが今ひとつわからない。
いわゆるインピーダンスとは、イヤホンやヘッドホンのケーブルに流れる電流が「流れやすいのか」それとも「流れにくいのか」それを表現したものなんですね。
専門的な用語でいえば「交流抵抗」と呼ばれています。
電流が流れにくいことを「ハイインピーダンス」、流れやすいことを「ローインピーダンス」なんていい方もします。
インピーダンスを表示する単位は「Ω(オーム)」でヘッドホンなどの例でいえば「35Ω」などと表記されていますね。
インピーダンスの高低で何が変わるの?

で。
このインピーダンスの高低で変わることといえば
「音量が取りやすいか」
「音量が取りにくいのか」
この2つの指標として考えることが出来るんですね。
- インピーダンスが高い
「電気抵抗」が高いことを意味しているので、電流の流れは抑えられます。
電流の流れが抑えられるので、出てくる音のボリュームの量感は小さくなる傾向ですね。
ヘッドホンなんかで「音量が取りにくい」と表現されているのを聞いたりすることがありますが、「音量が取りにくい=音量が小さい」ということが言えるわけです。
- インピーダンスが低い
こちらは逆に「電気抵抗」が低い状態のことを指しているので、電流の流れは多くなります。
電流の流れが多くなるのであれば、出てくる音のボリュームは大きくなります。
この場合は「音量が取りやすい」と表現されたりしますね。
イヤホンでは特にそう言われたりするので、聞き馴染みはあるかもしれませんね。
鳴らしやすい、鳴らしにくいってどういうこと?
「音量が取りやすい」「音量が取りにくい」とは少し違った言い方もされるのでここで触れてみます。
「このイヤホンは鳴らしやすいね」「このヘッドホンは鳴らしにくいね」などです。
鳴らしやすいとは、音量が取りやすい=「ローインピーダンス(低インピーダンス)」
鳴らしにくいとは、音量が取りにくい=「ハイインピーダンス(高インピーダンス)」
となります。
なかなか表現方法が微妙に違ったりするので、慣れない方であれば混乱しがちなので、ぜひ参考にしてみて下さい。
ちなみに鳴らしやすさを抵抗値として表現した場合、「20Ω」や「35Ω」
鳴らしにくい抵抗値は「115Ω」極端だと「600Ω」もあるヘッドホンもあったりします。
インピーダンスに目安や基準はあるの?
冒頭でもお伝えしましたが、インピーダンス自体には目安や基準といったものは特にありません。
なぜなら、作られた機種ごとにインピーダンスは違ってきますし、その作られてた目的(例えばつなぐ先のアンプやプレイヤーなど)でも変わってくるからなんですね。
その他のスペックを見てみる

イヤホンやヘッドホンの元箱を見てみるとインピーダンスの他に「感度」「周波数特性」なども表記されています。
これらがどういう意味なのか。
インピーダンスと合わせて考察していこと思います。
- 感度
感度=能率のことでよく箱の裏には「〇〇dB」なんて書いてあったりしますよね。
これってどういうことなのか。
真空管アンプで例えるなら
アンプから1Wの信号をドライバー管へ入力したときに、1m離れた場所での音量(dB) のことを言います。
うーん。ちょっと難しいですよね。
要はアンプから出た信号を1m先で感じる音圧のことですが、この数値が高いほど感度が高い(高能率)。
逆に数値が低ければ感度が低くなります(低能率)。
具体的な数値で示すなら
「80dB」や「89dB」であれば感度は低く、「100dB」を超えてくると感度は高くなる。
大雑把な表現ではありますが
能率が高くなる=音圧が高く感じる
能率が低い=音圧も低い
先述のインピーダンスも交えるなら、
インピーダンスが150Ω、感度80dBであれば抵抗値が高く能率も低いので「鳴らしにくい」となります。
インピーダンスが20Ω、感度が104dBであれば抵抗値が低く、能率も高いので「鳴らしやすい」となります。
- 周波数特性
これも箱の裏側に「20Hz~20kHz」なんて書かれてある数値のことですね。
これだけ見たらなんのことか分かりません。
周波数特性は「音の周波数の範囲」を示したものなんですね。
周波数特性を英訳すると「frequency response」と約さるわけですが、その頭文字を取って「f特」なんていい方もされます。
人間の耳で聴こえる範囲というのは
最も深い低音域で20Hz。
最も高いところで20,000Hz(20kHz)。
がよく言われる可聴域の数値になります。
要はヘッドホンであれば、その機種の「再生可能な音域」を表した表記なんですね。
「20Hz~20kHz」であるなら、人間の耳で聴き取れる範囲とされる、ぴったりの位置に調整してあることが分かります。
FOCALヘッドホンを見てみよう

ここで、FOCALのハイエンドヘッドホン「UTOPIA」のスペックを見ていきたいと思います。
FOCAL UTOPIAヘッドホンに関しては「FOCAL UTOPIAの気になる音質は?100%の実力を発揮させてみた結果」で書いた通り。
さっそくUTOPIAのスペックを見ていきましょう。
インピーダンス:80Ω
感度(能率):104db SPL/1mW@1kHz
周波数特性:5Hz〜50kHz
となっています。
ここから見て取れるUTOPIAの基本性能は
インピーダンスが80Ωと電気抵抗も少なめで、電流も流れやすくてボリュームは高めな印象。
感度は104dbと能率は高く、音圧もたかいと想定できる。
周波数特性はハイエンドヘッドホンらしく幅広い帯域を鳴らすことが出来る。
結果的にこのスペック上で「UTOPIA」ヘッドホンは「鳴らしやすい」傾向であることが伺えます。
ヘッドホンアンプの力

でもね。
このスペック上の数値と、実際に出てきた音にはかなりギャップがあって。
それも、割りと鳴らしやすい数値が記載されている「UTOPIA」ですが、アンプの「ドライブ力」が弱けれはその本来の真価を発揮できないんですね。
それも並のドライブ力では足りず、貧弱な増幅力ではUTOPIAのドライバーをまともに動かせないんです。
ドライバーの能力をすべて引き出せないんですね。
UTOPIAのドライバーを鳴らし切るだけのアンプの存在が「キー」になるんですね。
強力なヘッドホンアンプを使うことで、ようやくドライバーがフルに動き出します。
これはスペック上からでは判断がつきにくいことなんです。
スペックはそれほどあてに出来ない

ここから言えることは、スペックだけが音の評価につながらないということ。
あくまで、数値化してはいるけど実際に繋いだアンプなんかでもかなり音が変わってきます。
なのでこういったスペックを理解して、参考にする。
けれど購入する際の判断材料にはならないんですね。
ハイエンド機種であれば基本的にスペックが高く、数値上、すべてが上限に達している優秀なものばかりです
なので「出てくる音で勝負する」ことになります。
ヘッドホンだけでなく、アンプ、DAC、プレーヤー、スピーカーにも同様なことがいえるんですね。
終わりに
こういったスペック的な表記は、特にオーディオに興味を持ち始めたばかりの時であれば、理解することにたいしてハードルを感じてしまいます。
それらを噛み砕いてお伝えしてきたわけですが、結果的にハイエンドクラスになればそのスペック自体はさほど意味を成しません。
繰り返しにはなりますがハイエンドクラスほど、スペックなどの数値はどれも満たされているんですね。
なので出てきた音が全てになります。
スマホやプレイヤー直挿しであれば、そのバッテリー消耗を考えて「ローインピーダンス」のイヤホンなんかが適合すると思います。
こういった時のことを考えたとき、スペックを見れた方がいろんな角度から判断ができると思います。
もしインピーダンスなどの表記で分からないことがあれば今回の記事を繰り返し見て参考にしてみて下さい。