ちょっと思い出せないんだけども。
それくらい前にこんなメッセージを貰ったことがあるんです。
「イヤホンにダナミック型とバランスドアーマチュア型がありますが、その違いって何ですか?そのドライバーも全部メーカーが作っているんですか?」
こんなメッセージをもらったんです。
イヤホンには大まかに二種類のドライバーが主流として存在するわけですが、もちろんその両方にメリット・デメリットがあります。
で。
ボクがだいぶ前にもらったメッセージなのに、なぜこれを思い出したのかというと
「ドライバーも全部メーカーが作っているんですか?」
ここを聞かれたからなんですね。
まぁ結論から言うと
「大半のメーカーが他所の専門業者に委託している」
これが答えになります。
ドライバーの種類

その前に。
まずメッセージにあったダイナミック型とBA型についてお伝えしていきたいと思います。
両者では音を鳴らすポイントが違っていて、それぞれに良さがあります。
購入する際の選んでいくポイントとしては
「自分が音に対してどこに比重を置くか」
そこで決めていくと納得のいく機種が選べます。
ダイナミック型
市販で売られているイヤホンでは、かなり多く出回っているドライバーですね。
100均から家電量販店、ハイエンドクラスに至るまで幅広くこの
「ダイナミック型」が採用されています。
ここで見えてくるメリットとしては、「入手が容易」なこと。
だいたいどこのお店に行ってもこのダイナミック型イヤホンであれば、低価格で安く買えます。
スーパーやコンビニでも見かけますよね。
それくらい簡単に安く手に入る。
デメリットとして、「断線を防ぎながらイヤホンを壊すことなく長持ちさせる保管法7選」でも書いたけど、その入手の容易さからイヤホンを雑に扱ってしまいがち。
あとはカラバリが豊富であったり、スポーツ用なんかにも使えて応用の幅が効くことがメリットとして考えられます。
音質傾向
そんなダイナミック型の音質としての特徴は、「低音域の表現が豊か」な点。
低音重視のイヤホンがあるくらいダイナミック型はその「厚みのある低音表現」が得意ですね。
スピーカーの振動板のような円形状のドライバーで、その力強い低域はここから出てきます。
J-popやアニソン、ロックを聴く方なら迫力のあるサウンドが楽しめますね。
だいたいどこでも手に入るダイナミック型は「カナル型」と呼ばれる耳の中に入れ込んで聴くタイプが多いです。
その特性上、質のいい低音域の代わりに「音の解像度」だったり「開放的な抜け感」が弱くなります。
よく「こもって聴こえる」って表現されますが、まさにこの事ですね。
それでも構造や設計、素材にこだわった高額帯のイヤホンであればそこを攻略してさらに個性を上乗せしたような製品もあります。
バランスド・アーマチュア(BA)型
続いてバランスド・アーマチュア型。
これはイヤホンに少し詳しくならないとあんまり目にする機会がないマニアックなドライバー。
補聴器で使われていたユニットをイヤホンに応用したのが始まりで、指先に乗るような小型の箱みたいな形状をしています。
小型でそれなりに技術がいるため、それなりにコストも高くなりますが、イヤモニなんかのプロの現場で活躍しているドライバーでもあります。
小型だからそれなりの数を搭載できるんです。
オーダーメイドイヤホンカスタムIEMであれば「バランスド・アーマチュアを12基」とかそんな感じでマルチで搭載できます。
音質傾向
そんな「小さな箱」から奏で出すサウンドは、ダイナミック型が苦手としている
「高解像な音」「繊細な音楽表現」が特徴。
高域用、低域用などを帯域別で分担して、それぞれで搭載できるので
「音の分離」がとても良いです。
このメリットから、先ほどもお伝えした通り「プロのモニター用イヤホン」にバランスド・アーマチュア型が採用されています。
一音一音をきめ細かく正確に鳴らしてくれるんですね。
一方、デメリットとしては、どうしてもコストが高くなるので入手に関しては敷居が少し高くなります。
低音域の量感もどちらかといえばクールでタイトな傾向。
もちろん全てというわけではなくって。
BA全般の特徴として、もし力強い低音域を求めている方であれば、ダイナミック型に軍配が上がるかもしれませんね。
音質を高める大前提として

ダイナミック型にもバランスド・アーマチュア型にもそれぞメリット、デメリットがあり、それを良くするために「アンプ」であったり「リケーブル」で補う事がでます。
※参考記事 「イヤホンの音質が悪い!音質が良くなる5つのステップ」
参考記事に書いたようなことを試して組み合わせながら、それぞれの特性を持ったドライバーの力を引き出していき「音質向上」を高めていくんですね。
あ、そうそう。
上記のリンクには書いてなかったんですが、音質向上には「音源」も重要な要素になります。
参考記事:「ハイレゾ、CD、レコード、カセット。音源別で比較をしてみたよ」
このあたりを見直してみるとイヤホンの持っている能力はある程度引き出すことが可能です。
でね。
音質に関してもっと根本的なことを知っておいた方がいいこともあって。
それがメッセージをくれた方の相談内容の「ドライバーも全部メーカーが作っているんですか?」です。
これがあんまり情報がないのは確かで。
これを知っていると、本質的な音質傾向がつかめるので結構マニアックな情報だと思うんです。
元を辿ればほぼ同じ製造元

世に出回っているイヤホンのドライバーユニットに関しては、種類や特性なんかは分かっていても。
あまり製造元に関しては情報が少ないのがよくあるパターン。
どこで作られているんだろうと思われている方もいるかも知れませんね。
実は、ドライバーユニット自体は自社で作ることはなく他社に委託しているところが大半なんですね。
大手のメーカであってもほぼ他所に委託しています。
これはヘッドホンも同じで。
ハイエンドヘッドホンを出しているメーカでも大体は他社製。
それを自社製品用に調整して適合させているんですね。
そこでダイナミック型とBA型で各メーカーが委託しているメーカーをドライバー別にお伝えしていきたいと思います。
ダイナミック型
- Dynamic Motion
ダイナミック型を作っている大手メーカーは韓国にある「Dynamic Motion」が有名です。
イヤホンだけでなく、ヘッドホンのドライバーの供給元でも活躍しているようです。
「有名スマホメーカーに付属しているイヤホンもこのメーカーが作っている」とのホームページへの記載があります。
なので普段スマホで音楽を聴いている方も、ここのメーカー製のドライバーで音楽を聴いているかもしれませんね。
その技術力をもとに独自のイヤホンも作っているようなので気になりますね。
- フォスター電機
国内でも知名度が高い、FOSTEXを自社ブランドでもつフォスター電機。
音響機器メーカーとして数多くのドライバーユニットをOEMとして扱っています。
そのなかでもAppleの「iPhone」、少し前であれば「iPod」に付属しているイヤホンのドライバーを作っているのがフォスター電機だったんですね。
(iPhone付属のイヤホンもかなり個人的にはお世話になっているので、なんだか感慨深いですね。笑)
他にもApple製のイヤホンで作っているところがあるようですが、はっきり分かっているのはこのフォスター電機だけですね。
あとゼンハイザーの廉価製品やBeatsなんかもここのドライバーを使っているようです。
バランスド・アーマチュア型
BA型に関しては製造元が極端に二分化していて、ほとんどが同じところのBAドライバーを使っているようなんです。
- Knowles
まずそのうちの一社。
半導体や電子部品を扱っているアメリカの「Knowles」というメーカー。
多くのカスタムIEMメーカーで採用されているBAドライバーをここで作られています。
先述したダイナミック型のドライバーもここで作っているのでかなり幅広くこのメーカーのドライバーが普及している印象です。
- Sonion
こちらはデンマークにあるメーカー。
カスタムIEMをはじめ、SHUREやUltimate Earsも中身はここのドライバーのようです。
これらの両メーカーが「ほとんど」といってもいいレベルで、BA型に使われているようなので興味深いですね。
BA型に関してはSONYやヤシマ電気が作っているようですが、生産と特許面でかなり苦戦しているようでなかなか普及していません。
普及と安さの秘密

でね。
ここから見えてくることは、安定的に大量生産が出来ること。
ダイナミック型ドライバーであれば、安いものなら、ばほとんど「同じもの」なのでコストも低くなり、大量に作れる。
なので言葉は悪いかもしれないけど「同じ音」なんですね。
BA型で言えば、多種多様なBAドライバーを製造元で作っているのでそれを組み合わせて搭載する。
その組み合わせで音質に差を出しているところもある。
中には独自の技術をオーダーして専用のドライバーを作るメーカーもあります。
そのあたりで差別化するんですね。
全てではないにしろ、こういった背景を知ることって必要だと思うんですね。
最短で音質を向上できるポイントですし、イヤホンやヘッドホンをより深く知ることにもつながるので。
自社で作れるメーカーも

ほとんどが同じメーカにドライバーを委託しているわけですが、それでも自社で設計、製造しているメーカーもあって。
「SONY」や「final」が最も有名ですね。
自社で作るにはそれ相応のコストはかかりますし、商品単価をみてもかなり高めな製品が多いです。
しかし、他のメーカーでは得られないような個性的なサウンドが魅力的です。
他社製のドライバーを自社のイヤホンにそのまま搭載する。
それだけなら音質的変化はないかもしれません。
でも自社製品を適応させる際に、ドライバーを調整して音質変化を表現しているのならそこには少なからず「音の劣化」があると思うんですね。
その点、自社生産のドライバーなら設計段階から製造まで「自社」なので劣化する余地がない。
ここが自社製ドライバーの強みだと感じますね。
終わりに
イヤホンの心臓部「ドライバー」についてお伝えしてきました。
その大元まで見ていくと自社製のドライバーはほとんど無く、他社製のものが搭載される。
「イヤホンの音はどれも同じ」
オーディオに興味が低い方からはよくこういった声が聞こえたりします。
そこにはこういった背景があるのも一つの要因かもしれません。
でもね。
各メーカーも相当な技術力を持っているわけで、うまくバランスをとって高音質で高性能なイヤホンを排出しています。
明らかに他と差別化したような高音質を誇るメーカーがたくさんある。
なので「いい音」には変わりはなく、玉石混交で自分が納得のできるイヤホンに巡り会えたのならそれが一番。
かくいうボクも、安いものから高いイヤホンまで今でもガッツリ楽しませてもらっています。笑
なので、そういう特性を深く理解した上で音質向上を目指していく。
そうすることで新しい「音」の発見があると思います。