真空管ポタアンの知られざる真実と驚異の威力とは

いつからだったかなー

半導体、いわゆるトランジスターがメインのアンプを使わなくなったのって。

とくにその音が嫌いだったわけではないですが、それでも飽きるのが早かったんですよね。

それこそ、透明感と中音域の押し出しが強いアンプや逆に低音域に特化したものだったり。

いろいろ入手して試したんですけど何かしっくりこなかった。

そんな時にであったのが「真空管」を増幅部としたポタアンでした。

当時は、艶がある「ホールで聴いているような音」「温かみのある音」

そんなレビューを見て手にしたのがきっかけでしたね。

でも、真空管をメインとしたアンプの良さってこんなものではなくって。

半導体ですら鳴らせないような音の魅力が詰まっているんです。

なぜ真空管なのか?

なぜそもそも真空管なのか。

半導体とどう違うのか。

そのへんの話は「【アンプ】ポタアンの効果は?ポタアンを付けるべき理由」で書きましたが、忙しい方もいると思うのでもう一度まとめてみます。

真空管と半導体。

音の歪やチャンネルセパレーションなどを個々に区別していけば、性能的には「半導体」に軍配が上がります。

生い立ちとすれば、真空管の後に生まれた、言わば真空管をより性能的に改善させたのが「半導体」です。

なので真空管より性能がいいのは当然になってくる。

でも、そこだけを突き詰めても「面白みのないサウンド」になってしまいます。

そこを各メーカーがうまく調整して音の個性を持たせているんですね。

では真空管だとどうか。

1940年代~1960年代後半までを全盛期として、テレビやラジオといった家電製品、果ては軍用としても納入されていました。

そんな過去に作られた真空管でもオーディオの世界では今でもコアなファンに根強い人気があります。

ボクもそのうちの一人なわけで。

歪やノイズ、安定性などどれをとっても半導体には敵いません。

それでも人気がある。

それは、真空管だからこそ鳴らせる音があるからです。

よく「温かい音」なんて表現されますが、純粋に真空管のみで増幅したアンプであればとても解像度が高く、弾むようなダンピングの効いた低音域が聴ける。

それくらい、真空管のみで増幅した音っていいんですよね。

しかも。

真空管の面白みはこれだけではなくって。

真空管そのものは、全盛期当時に数多くのメーカーが生産していました。

その中には同じ型番(名称)の真空管も無数に存在しています。

そんな同じ名称であっても、各メーカーや年式なんかで音が微妙に変わってくるんですね。

作った人や素材、精度なんかでも変わってくるとは思いますが、ここがかなり面白いんです。

そうそう、年式でいえば同じメーカーでも年式による音の違いがあります。

「そんなの真空管を高く売るための迷信だよ」

そんな声も少なからずあります。

確かにそんな風に謳って高額な販売をしているところもあります。

でも、それ云々を抜きにしても「音の変化」はあると実感しています。

真空管は音の歪に弱い一面がありますが、裏を返せば「倍音」になって心地の良い音になる。

または、半導体にはない「味のあるサウンド」を鳴らしてくれる。

そんな数値や理論では語れないものが、実際に出てきた音として体感できるんです。

市販の真空管ポタアンの落とし穴

そんな深い味わいのある真空管ですが、実は落とし穴もあって。

それはいくつも真空管アンプとして販売されているアンプの多くが、

「半導体とのハイブリッドアンプ」であること。

要は、肝心なところを半導体が増幅して真空管は味付け程度の増幅でほとんど稼働していない。

そんな真空管アンプもゴロゴロ出回っているんですね。

真空管にはプレートと呼ばれるパーツが組み込まれています。

真空管に詳しい方であればご存じかもしれませんが、「ブラックプレート」や「グレープレート」と呼ばれる個所ですね。

そこの電圧がいくらかかっているかで真空管の稼働率が大体わかってしまうわけです。

例でいうなら、有名なALO Continental Dual Mono やContinental V5であればプレート電圧がたったの5v程度しか電圧がかかっていません。

これではほとんど機能していないのと変わりありません。

むしろこのシリーズの最初期、Continental V1であればプレート電圧80vと高い電圧なんです。

つまり真空管稼働率もかなり高い。

当時、Continental V1は音がいいと言われた由縁なんですね。

ボクも実際にこのContinental V1が最初の真空管ポタアンだったわけですが、強烈にインパクトが強く印象に残っています。

今でも大切に使っているくらいです。

V1であれば、ほぼ真空管が支配的になるのでより「真空管そのもののサウンド」になるんですね。

どんな真空管アンプならいいの?

そんなContinental V1といえども、ハイブリッドアンプになります。

純粋な真空管アンプと問われればそうではなく。

それにコンデンサーやボリュームなど、そんなに良質な性能のパーツではないために音質面で犠牲になってしまっているところも事実。

それに随分昔の機種なので、入手自体も困難です。

では、現行の機種で「本当の純粋な真空管アンプで音が楽しめないのか?」と疑問が湧いてくるかもしれません。

もちろん、純粋な真空管のみで増幅するアンプは存在しています。

Woo Audioの「WA8」であれば本物の真空管サウンドが楽しめます。

Woo Audiobは知る人ぞ知る、アメリカのハイエンドオーディオメーカーで、音に対する作り込みがすごいですね。

「WA8」であれば

  • オール三極管
  • 純A級動作
  • ディスクリート構成

などの真空管アンプとしての本格的な構成なんです。

かなり難しい聞きなれない言葉ですので少し要約してみたいと思います。

オール三極管

真空管の中でも3次歪とよばれるものが少なく、グラフにした際、「直進性の良い」三極管のみで構成されています。

高出力は出せませんが、ヘッドホンアンプの特化することで成立しています。

また自己バイアスなので様々なヴィンテージ真空管に差し替えることが可能となるんです。

純A級動作

アンプにはA級、B級、AB級と表現される場合があります。

WA8はその中のA級に属するわけですが、それがどういう意味なのか。

WA8は信号あたり三極管シングルアンプとして動作しているんですね。

出力を犠牲にして真空管の増幅カーブで「真っすぐなおいしい部分だけ」を使っているんです。

グラフでいうなら、波打っている曲線の湾曲した部分ではなく、その中でもまっ直ぐな直線部分のみを取っているということです。

つまり、歪の少ないアンプとなるわけです。

ディスクリート構成

アンプ内部において、一つ一つ異なる部品が使われているという意味です。

要は、安価な集積回路(IC)を使わずに、個々でカスタマイズが可能ということなんですね。

オーディオ用の高音質パーツを使えたり、交換なんかも可能なんです。

半導体アンプでは出せない音

WA8の内部構成に関しては先ほどお伝えした通りですが、このクラスになれば本当の「純度が高い」真空管そのものの音が楽しめます。

この音を一度聴くと、不思議と他のアンプに目移りしなくなるんですね。

一般的に真空管アンプの音って、「やさしく伸びる音の感じ」や「心地よく丸みのある温かい音」と言われています。

でもそれは昔の真空管ラジオや安いアンプをイメージしたものなんですね。

ハイエンドな真空管アンプはとにかく解像度が高く、シャープでダンピングの効いた鋭い低音域が特徴的です。

それに、真空管を交換して無数に組み合わせることで「倍音が美しい美音系サウンド」や「hi-fiなパワー感のあるアメリカンサウンド」など。

そんな真空管の個性として音が変わってくる。

これが半導体アンプにはない最大のメリットとなります。

終わりに

まったく真空管に関しての知識がなかったころ。

はじめて初代Continetalの音を聴いたときは「コレだ!」という一聴して判断できるほどの音のよさではなかったんですね。

アンプを鳴らす音楽環境がそもそも良くなかった。

でも明らかに他の半導体アンプとは何かが違っていて。

そんな不思議な音の良さにどんどん惹かれていきました。

それが初代Continetalの良さを相殺していたのが原因ですが。

今では世界各国に散らばっている真空管をかき集め、「チューブローリング」をしながら真空管アンプを楽しんでいます。

でもこういった楽しみは半導体アンプではできません。

もちろん、半導体アンプにも良質なアンプはいくつもあると思います。

けれど、音の幅や楽しみ方は真空管アンプの方が抜群に良いと感じています。

もし今、真空管ポタアンが気になっている方がいれば今回の記事を参考に、ぜひ気軽に試してみて下さい。