最近はポータブルプレーヤーの性能もかなり良くなっているので「ポタアン」を使うってことも以前よりは少なくなった印象ですね。
それでもポタオデ(ポータブルオーディオ)にこだわっているのでれば、ポタアンを根強く愛用されている方もいると思います。
そんな中、
「ポタアンは効果がない」
なんて記事やコメントを度々見かけたり聞いたりします。
確かに「何となく」でポタアンをつないだくらいでは「その程度」の音質変化しか得られないと思います。
そうではなく、内部のパーツをよく精査したりトータルの相性を上手く合わせてみる。
そこを見直してみるだけで、ポタアンを使った際に相応の変化が実現できます。
つないでいるイヤホンやヘッドホンの音にも良い変化があるので
「良質なポタアン」を選択する必要があるんです。
プレイヤー直刺しよりアンプを使った方がいい理由

そもそもプレイヤーにも「アンプ」といものは搭載されています。
それをなぜ外付けにするのかといえば、プレイヤー本体のアンプ自体にはそこまでコストがかけられたものが搭載されていません。
言葉は悪いですが、あくまで「音が鳴ればいい程度」のもの。
プレーヤーにはその他にもコストをかけるべき必要な場所がいくつかあります。
なので「アンプにそこまで質にいいものをかけれない」というのが現状。
もちろんアンプ部を含めて徹底的に作りこまれたプレイヤーもあると思います。
でもそれは高額なハイエンドクラスでないと実現できないという壁もある。
話を戻しますが、
そんなプレーヤーのアンプ側をオフにして、外付けの良質なポタアンを使って音を増幅してしまうわけです。
アンプ=音の増幅機なので、単純に考えてもそれだけに特化したものを別で駆動させるだけで「音のパワー」が格段に上がったり、ノイズのないクリーンな音質を体感できるんですね。
また、ハイインピーダンスで音量が取りにくいイヤホンやヘッドホンでもポタアンを使えば力強いパワフルなサウンドを得られる。
インピーダンスについてはこちらを参考にしてみて下さい。
「【ヘッドホン】インピーダンスの目安は?スペックと実際に出てきた音が違う理由」
そんな理由からプレーヤー直刺しよりもポタアンを間につないだ方が音質的には向上してきます。
ポタアンの何が高音質になるの?

具体的にポタアンの何がそんなに高音質になるのか。
そこを大きく4つに分類して各パーツを見てみると
- ボリューム
- コンデンサー
- 増幅部
- 電源
こんな感じに音に関わる箇所を書き出してみました。
ボリューム
「ボリュームがなぜ音質に関係あるの?」
そう思われる方もいるかもしれません。
でもボリュームは音質に大きく影響してきます。
そもそもボリュームの質が良くなければ音自体も劣化してくるわけですが、具体的には音量を低くした時にきれいに下がらず、左右に音圧差が出てくる。
この点に関しては、ある特定の高級ボリュームでないと実現しない問題でもあります。
それとは別に元から左右の音圧差があるケースもあります。
ある程度、音量を上げてもL,Rチャンネルの音圧バランスが違っていて、音に違和感があることもあります。
左右の誤差が数%以内であれば許容範囲内というメーカーもありますので、聴いてみないことには分からないなんてこともある。
自作のケースだと同じメーカーのボリュームをいくつか選定して、その中からよかったものを搭載する。
そのレベルで見分けていく必要がある。
それくい重要なパーツとなるんですね。
あとはボリュームをひねったときにガリガリと「ノイズ」が入るかどうか。
そこも実際に聴いてみるまでは不明なこともあります。
まぁ、メーカー品であれば余程のことがない限り致命的な劣化品は搭載されていませんが、そういう事実があることは確かですね。
コンデンサー
アンプ内部で使われているコンデンサーがオーディオ用であるか、そうでないかでも音の質感に影響があります。
特に電解コンデンサーは音の良し悪しをガラッと変えてしまうものです。
しかし、このコンデンサーは中を開けない限り見ることはできません。
内部のパーツ名まではさすがにメーカー側も公表ていないので判断のつけようがない。
でもこのコンデンサーと呼ばれるものが音に関係してくることを知っておくだけで後々役立つことがあります。
それは自作する場合や、ディスクリート構成のアンプに出会ったとき。
内部のコンデンサーなんかを交換できる場合があるので、そんな時にコンデンサーのことを理解していると音を大きく変化できることもあります。
増幅部
アンプの心臓部。
増幅するものが半導体なのか真空管なのかでも音の傾向は違ってきます。
両者の増幅パーツでかなり音質的にも変化してきますが、何がそんなに違うのか。
半導体であれば、音の歪が少なくチャンネルセパレーションもいいです。
ほとんどのアンプはこの半導体アンプです。
そんな中でもポタアンであったりハイエンドな機種になれば音質的にも精度が上がる。
スマホであってもプレイヤーであっても、この半導体になるので多くの人が慣れ親しんだ音だと思います。
続いて真空管。
真空管は、歪こそ半導体には勝てませんが、その歪自体が「倍音」となり心地いいサウンドになったりします。
真空管が全盛時代に作られた、いわゆるヴィンテージ真空管であれば各メーカーの個性あるラベルのデザインやパッケージも楽しめる。
面白いのは同じ名称でもメーカーや作られた年式で音が微妙に変化することです。
そんなヴィンテージ真空管だからこその「味」があるサウンドを実現できるんですね。
純粋な真空管アンプであれば高解像度、ダンピングの効いた低音域など魅力に溢れています。
電源
電源はアンプのみならずオーディオ機器全般にいえることなんですが、ここが悪いとそもそも「本来の音が聴けていない」ということになります。
それくらい音に与える影響が大きい。
使っている機器は果たして適正な電圧をかけて使えているか。
そこが電源に関して大切になってくる。
余談ですが、日本は基本的にAC100Vです。
でも実際は地域ごとでその数値にバラつきがあるんです。
ある地域では105v、またあるところでは90vもあるかないか。
しかも時間帯なんかでも微妙に変動してきます。
そこを知らずに機材をつないでいれば、果たして適正な電圧で駆動できているのか疑問になってくる。
適正な電圧でなければ本来のパフォーマンスとは違ってくる。
なので昇圧トランスやアイソレーション電源など、そのあたりを検討してみるのも一つの手です。
その上でポタアンであれば、内部にバッテリーが積まれているので
「そこまで気にしなくていいのでは?」
そう思いがちです。
これも外からは判断が付きにくいですが、内部の電源部がショボければ全体的に弱々しいものになってしまう。
なので、ぜひとも電源に手を抜いていないメーカーを選びたいところです。
ポタアンをつないでも「効果がない」といわれる理由

こういった音質に関わる各パーツがどれもパッとせず、総体的にイマイチであれば「効果がない」となります。
むしろ、かさばるばかりなのでプレイヤーやスマホ単体で音楽を楽しんだ方が賢明です。
またそういう理由からではなく、つないでいるプレイヤーやイヤホン、ケーブルやアンプなどのトータルの「相性」によってバランスが悪ければ音があまり良くないと感じる。
そういった要因も絡んできます。
ここが理論や数値では語れないオーディオの「おもしろさ」でもあります。
逆にトータルの相性がよければ、きっと「イヤホンが耳から離れない」というくらい音がよくなったりもします。
もっと実用的なところだと、単に「ボリュームを適正な音圧まで上げていない」これも意外とあります。
なんか音があまりよく感じないと諦めかけていた時に、「ボリュームを上げたらとても音質がよくなった」なんていうこともザラにあります。
アンプの効果がないと感じたら一度ボリュームを上げてみることをオススメします。
もちろん上げ過ぎれば「難聴」リスクもあるので、あくまで聴き疲れしない程度か短時間の視聴に限ります。
そうすれば音圧が出てくるので、聴こえ方もガラッと変わってきます。
終わりに
ポタアンは効果がない。
そういう意見もあります。
お伝えした通り、ほとんどそこまで劣悪な製品はないと思うんですね。
原因とすれば、先述したことが考えられます。
音質を上げていきたいのであれば、ポタアンという選択肢は確実に何かしらの変化を生み出すので使ってみる価値は十分にある。
もし、ポタアンを使うかどうか悩んでいるのであれば一度使ってみることをオススメします。
それで納得がいくようであれば使い続けたらいいし、そうでないのなら別のポタアンを試してみる。
機材間の相性が存在するので、試していく中でベストマッチを模索してみる。
そうしたときに少なくとも「効果がない」といった状況からは抜け出ていると思います。