音楽を聴いていればいろんな種類の音源に出会うわけですが、ボクのプレイヤーにはあらゆる音源が収まっています。
「ステレオ」や「モノラル」はもちろん、4chステレオミックス、5.1chダウンミックス音源なんかも聴いています。
でね。
ステレオは現在の主流な音源です。
なので馴染みはどちらかといえばかなり深いと思います。
でもモノラルに関しては、今となっては「馴染みがない」って方。
または「知ってはいるけど聴いたことがない」って方もある程度はいると感じます。
結論から言ってステレオとモノラルどちらがいいのかといえば
「どちらにも魅力がある」
これが答えとなります。
意外と思うかもしれません。
でも、どちらにもいい面があって「いい音」なんです。
そんな「ステレオ」と「モノラル」音源について今回はお伝えしていこうと思います。
モノラルって?

いま、モノラルを聴こうと思ったら昔の古い映画、古い楽曲のリマスター盤を聴かない限り触れる機会も少ないかなって思います。
そもそもモノラルってどんなイメージがありますか?
「いつの音源なの?」「音がこもっている」「なんだか音が悪そう」など。
いろんな意見が出てきそうですね。
モノラルってどんな音なのか振り返ってみると、要はざっくりいうとイヤホンの左右から「全く同じ音が鳴っている状態」を指します。
だからイヤホンの片耳を外しても違和感なく音楽が聴けます。
片方の耳ですべての音が出せるからです。
昔の映画やドラマ、サントラなんかもそうですが、一部を除いてほぼすべてがモノラルをメインとした方法で録音されてました。
音の傾向としては、とにかく「平面的」です。
ステレオのような立体感や臨場感は感じられない。
そんな傾向のサウンドですね。
このあたりが、「モノラルは音が悪い」といわれる要因かと感じます。
後述しますが同じ「モノラル」でも、ある程度つくりこまれたモノラルであればかなり味がある面白い音になるんです。
ステレオって何?

続いてステレオ。
長い間、邦楽でも洋楽でもいろんな音楽で「ステレオ」で録音されています。
特徴としては、左右のchで音を「分離、分配」して鳴らすので、モノラルでは感じられなかった「臨場感」や「立体感」を「2つのスピーカー」で実現した音源ですね。
2つで1つの音を鳴らすので、スピーカーやイヤホンであれば必ず左右(L,R)が必要になります。
その証拠にイヤホンなどの、どちらか片方だけを外して聴いてみると、なんだかアンバランスで不自然。音に違和感があると思うんです。
2つのスピーカーがあって音が成り立つんですね。
高音質と感じるのは断然「ステレオ」に軍配があがります。
とはいっても。
モノラルに馴染みがない方であれば、「ステレオ」が当たり前の状態なのでそこまで音が良いという感覚はないかもしれませんね。
モノラルの良さ

モノラルって音が悪い。
モノラルがよく分からない方もここまで読んでみると、その良さがあまり感じられなかったかもしれません。
録音法に関してもマイク一本で収録しています。
なので、どうしてもリアルな音は感じにくい。
その代わりに、どこにいてもどの位置で聴いていても「すべての音を聴きとれるメリット」はあります。
たとえイヤホンが片方断線していても、モノラルであれば気にせず片耳でも聴けてしまったりします。
スピーカーであれば、どの位置でも問題なく聴きとれる。
そんな良さもあるんですね。
で。
モノラルは一般的に音が悪いなんて言われますが、実はそうじゃないんですね。
マスターから音源化する際に「モノラルミックス」で収録するようなアルバムがあります。
これがとても面白くて。
同じステレオミックスの曲と比較しても「楽器の音量バランス」が違ったりするんです。
つまり、単なるモノラル化ではないんですね。
このミックスバランスが絶妙で、とても聴き応えがあります。
もしCD化されているのなら、ブックレットにそんな記載がない場合が多いです。
よく聴かないといけないし、ステレオなどの同じ比較音源がないとなかなか分かりません。
けれど。
そんなマニアックな楽しみ方もできますし、またステレオとは違った面白さがあるのでもし機会があるならぜひモノラルミックスを聴いていただければと思います。
ステレオの良さ

先述した通り、ステレオに関しては今では誰もが知るポピュラーなものです。
左右に音源を分配して「立体感」と「臨場感」を再現しようというのがステレオです。
通常のノーマルなモノラルでは、平坦な音の質感でスピーカー2つで聴いた場合ではそこまで音にた楽しみはありません。
それをステレオでは解消しているんですね。
ステレオ=2ch化で気軽にスピーカーやイヤホン、ヘッドホンで分離のいい立体感のあるサウンドが楽しめる。
それがステレオの最大の魅力ですね。
音源によっては2chに分解できるメリットを最大限に活かして縦横無尽に音を配置している。
例えば「左右にグルグル回転する効果」だったり「2人のヴォーカルを左右で交互に聴かせたり」など。
これはステレオだからこそできる演出ですね。
ステレオとモノラルどっちがいいの?

ステレオとモノラルはどちらが良いのか。
冒頭でも触れましたが、「どちらにも良さがある」んめすね。
なのでどちらも良いという結論になります。
ステレオの良さでもう一つ面白いことがあるんです。
左右のchで音の分配をして音の立体感や臨場感を出している。先ほどそうお伝えしました。
その配置の仕方にも意味が合って。
「人間の感情に訴えかけてくる音は左耳側に配置される」
ということなんです。
「悲しみ」や「不安」、「喜び」「抑揚」など。
人間の脳の構造上、感情に訴えかけるような音は右耳より「左耳」に配置した方が印象に残りやすい。
ステレオではそんなところまで作り手の方は意図しているんですね。
そう考えれば思い当たる音源がいくつもあることに気付きます。
でね。
モノラルにも面白い音源があって。
モノラルは音源化の際、「モノラルミックス」という独自のミックスバランスを取って収録された音源もあります。
それ以外にも、最近であれば映画の「4Kリマスター」でもモノラルが日の目を浴びています。
当時のモノラル音声をブラッシュアップされ、映像とともに鮮明になっている。
良質なものであれば、いたずらに質感を変えたりせず、当時の素材を可能な限り活かした作業がなされています。
そんな音源であれば、劇場で聴いても思わず感動してしまうようなそんなリマスターが存在しているんです。
そこにモノラルの「価値」がにじみ出てくる。
なので音質的にもステレオに軍配は上がりそうなイメージです。
しかし、それに負けず劣らずで「モノラルならではの強み」があるので一概にどちらが良いとはいえない。
そんな理由があります。
レコードやカセット、CDなどはそれぞれに良さがある。
ステレオとモノラルに関してもそれと同じことだとボクは考えています。
参考記事:「ハイレゾ、CD、レコード、カセット。音源別で比較をしてみたよ」
終わりに
ステレオとモノラル。
そんな普段では意識しないような部分でも、音源的にはこれまでお伝えしてきたような「深み」と「面白み」がある。
CDでモノラルと表記されていて、「たかだかモノラル」と思っていると
ステレオとはまた違った楽器の音量バランスで収録されたりしている。
同一音源にステレオとモノラルがあるのなら聴き比べをしてみるとそんな違いを楽しめると思います。
音源化されているということは、その際に何かしらの調整、マスタリングがされている。
そんな作り手が何を「意図して、計算して」そのバランスにしたのか。
モノラルミックスであればなぜそんな「楽器の音量バランス」にしたのか。
サントラの音源なら「物語のどこを意識して」そんな風に調整したのか。
そんなところまでに音源一つからも見えてくることがあるんですね。
そうすることで、音楽を聴く楽しみが二倍にも三倍にもなる。
もしお手元にそんな楽曲があれば、ぜひ今回の記事に書いてみたことを思い出していただいて、そんな音源の魅力を見直してみるのもいいかと思います。