以前こんな問い合わせが届きました。
「自分が使っているイヤホンの音が悪いです。もっと良くしたいですけどどこから変えていったらいいでしょうか。」
こんな内容の質問でした。
これはどんな環境によるかですね。
イヤホンとプレーヤー直挿しなのか。
その辺の詳細な環境だったりイヤホンの機種の記載がないので一概に断言はできませんが、音が悪いと思っている状態であれば当然、聴いていても楽しくないわけですよね。
イヤホンがどうこうよりも根本的な「音楽を楽しむ」がないがしろになってはいけないのでこれをみて改善して改善を図ってみてください。
音質がいい悪いは人それぞれ

そもそもイヤホンの音がいい悪いは個人の主観が大きいですし、同じイヤホンを2人が聴いたとしたらそれぞれで感じた音の感想は違ってくるわけで。
Aの人は「低域が出ていないし、中域の張り出しが弱い」と思っている。
Bの人は「高域の見通しがとてもよくて解像度が高くていい」そんな風な感想を持っている。
これは極端な例ですが、こんな感じに音に対して人が思う印象は変わってきます。
なので自分がいいと思う音質を知るところから、イヤホンにどんな音を揉めているのか。
まずはそこを知っていくところからはじめて行ったほうがより早く「いい音」と思えるイヤホンに出会えると思います。
その上で自分がどんな音質傾向にしたいのか考える

でね。
そこが分かると次はどんな音質を選びたいのかを考えていく。
- 低音域に特化した音質
- 中域特化(ヴォーカルメイン)の音質
- 解像度が高くて高域の伸びが良い音質
- 開放的で立体感がある音質
など。
イヤホンは全て音が同じ。
そう思っている方もいますが、確かに大量生産されているイヤホンの多くは同じ音と感じるかもしれません。
その裏側としては、使っているドライバーが大元は同じところで生産されていて、それをメーカーごとに微妙にチューニングし直している。
なんていう事実もあったりします。
大元が同じであれば音質傾向がどれも一緒と感じるのは当然なんですね。
でも、3000円くらいのイヤホンでも詰めて設計されていて、明らかに他とは違う鳴り方をする機種もあって。
あるいは、アンプやケーブルを変えることで音質傾向がガラッと変わったり。
なので一部を除く、すべてのイヤホンが同じ音なんてことは全然なくって、それぞれで上記で上げたような個性を発揮するですね。
そこを考えた上で、イヤホンの個性を伸ばしながら音質傾向をグレードアップしていく必要があります。
イヤホンの種類で音が変わる

で。
イヤホンには音の個性があるとお伝えしたんですが、もっと根本的な部分でイヤホンの種類、タイプによって大まかな音質傾向が決まってきます。
ざっと大別して
- カナル型
- インナーイヤー型
- カスタムIEM
の3つです。
- カナル型
イヤホンを耳の中に入れて聴くタイプで、イヤホンの先にシリコンのイヤーピースと呼ばれるものがついているタイプですね。
耳栓のようなかたちで耳の中にいれるので遮音性が高いのが特徴です。
遮音性が高い分、低域の量感が鮮明で押し出しが強い。
音がより近くで鳴るので細かい音なんかをよく拾うことが容易にできます。
ただしその特性上、どうしても音場が狭くなる傾向が強くて。
音がこもって聴こえるとはこのことで、安いイヤホンだと顕著になります。
価格が上がるにつれてそこが改善される機種が多いですね。
- インナーイヤー型
耳のふちに乗せて(引っ掛けて)聴くタイプのイヤホンです。
iPhoneなどのアクセサリーでついてくるあのイヤホンですね。
最大の特徴は、音に立体感があって開放的なサウンドなので一聴して「音がいい」と感じる方が多い。
なのでリピート率も高くiPhoneのイヤホンが人気なのはこういった理由があるからなんですね。
開放的で立体感がある音ならばスピーカー的なサウンド傾向なのでそこを求めている方であればオススできるイヤホンです。
開放的な鳴り方をする特性上、「音の厚み」であったり、「低音域」が痩せてしまうので人によってはシャカシャカした音質と感じる方もいます。
- カスタムIEM
ミュージシャンがステージ上で使っているモニター用、業務用途のイヤホンです。
歌番組なんかでミュージシャンが耳につけているのをよく目にする機会が多いかもれませんね。
騒音からアーティストの耳を守る意味もありますし、正確に音響を把握する役割を担っています。
価格も高額ですしオーダーメイド品なので、なかなか敷居が高かったりします。
でも最近では代理店が数多くのメーカーを扱っているのでその気になれば入手は容易です。
自分の耳型を採取してつくるので、完成品の遮音性は抜群です。
耳の穴の形に沿ったイヤホンなので、耳にピッタリ蓋をしてしまうイメージですね。
イヤホンとしては最高ランクの音質で、「カナル型」と「インナーイヤー型」両方の良さを併せ持つ機種もあります。
弱点としては、高額で耳型を採取するなど敷居が高いこと。
その遮音性の高さから外使いでは場所を選ぶことが考えられます。
参考記事:「【カスタムIEM】抜群の遮音性。気になる安全性は?」
音を良くする

自分がどういった音質を求めているのか、イヤホン別の音質傾向をお伝えしたんですが、ここからはそれを踏まえて「音を良くする方法を」紹介していきたいと思います。
音を良くするポイントは
- プレイヤー
- リケーブル
- アンプ(DAC)
- イヤーピース
- リモールド
この5つです。
プレイヤー
音の入口としてここはこだわりたいですね。
多種多様のメーカーがありますが、選ぶポイントとしてはまずハイレゾ対応機種であること。
音楽を沢山いれたいのであれば容量が大きくて、Microカードなんかが搭載できるものだといいです。
イヤホンとプレーヤーで簡潔させたいのであればより内部の仕様に目を向けてみるといいかと思います。
後述するアンプに関して、一部のアンプではプレーヤーの相性がもろにでるものがあります。
一つ紹介しておくと、真空管アンプに対しては、SONYのWALKMANがベストだったりするんです。
デジタル出力であれば音の差はないと感じる方もいますが、意外とその辺の差が明確にでるのが真空管アンプなんです。
なのでこれは豆知識として、真空管アンプを使う予定の方は参考にしてみてください。
リケーブル
リケーブルは基本的に音に味つけをするスパイス的な役割程度でそこまで音質変化に大きな役割をしないと思われがちなのですが、すべては相性次第だとボクは思うんです。
高いケーブルを買ってつけてみても意外とそんな大した事ない結果なんてザラですし、とあるイヤホンと組み合わせたらとんでもない威力を発揮したなんてこともあるんですね。
リケーブルはその線材ごとに音の傾向があると言われています
たとえば、銅がメインの線材であれば「低音域」が濃厚になり、これが純銀線になると「ピュアで美しい高音域」といった具合です。
これが思ったようにいかに事もあって、これらの傾向を考えて選んでも「あまりいい変化をしない」こともあるんですね。
ただ機材とのトータル的な相性もあるので、確実に良くも悪くも音は変化します。
そこを分析しながら試していくのがベストな選定法だと思います。
アンプ(DAC)
プレーヤーから音を取り出してデジタルからアナログに変換する「DAC」、そしてそのアナログ信号を増幅してイヤホンまで送り届ける「アンプ」。
音をより良くしたいのであればこの2つの存在は見逃せません。
プレーヤー単体でもこの2つは備わっていますが、プレーヤー自体だとそこまで注視されていないんですね。
なのでこれを外部に任せて、プレーヤーはただの音源管理のみに特化させる。
アンプもメーカーごとに個性というか、音質傾向があるのでイヤホンの特性に合わせて選んでみてください。
低音域よりなイヤホンであるなら、低音に強いパワフルなアンプを、中高音域よりのイヤホンであれば、雑味の少ない高解像度なアンプを選ぶとイヤホンの個性を伸ばしながら音質向上を図ることができます。
ハイエンドなアンプだとその中に構成のDACが組み込まれています。
どのタイプのイヤホンでも分け隔てなく鳴らす傾向もあるので、いろいろ選ぶのが面倒でコストもいちいち掛けてられないと考えているなら、いきなりこのハイエンドタイプを選ぶの全然ありだと思います。
イヤーピース

で。
今度はイヤホン側にフォーカスしてみます。
カナル型イヤホンにはイヤーピースが付いているものがほとんどですが、この部分を改善してみる。
自分の耳の穴にしったかりフィットしているのか。
サイズが微妙に違うだけでも出てくる音は結構変わったりします。
あとはその材質ですね。
シリコンなのかフォームタイプなのか。それでもかなり音の質感は変わってくる。
なのでイヤーピースも見直してみると意外な音質変化が得られます。
最近ではそのイヤーピース部分のみをカスタムIEMのように自分の耳方に合わせたオーダーメイドのイヤーピースを作るとても粋なサービスがあります。
ボクも以前SHUREのSE846のカスタムイヤーピースを作ったことがありますが、純正のイヤーピースでは得られなかった抜群の遮音性と音質を得られたのでかなりオススメです。
後述する「リーモルド」より対応機種も多いので、音質改善にもカスタムIEMの敷居が高いよって方にはとても納得がいくサービスだと感じます。
リモールド
自分のイヤホンをカスタムIEM化してしまおうというもので、カスタムIEMがほしいけど高い、今のイヤホンが壊れてどうしてもこれで聴きたいって方に向けたサービスですね。
対応機種こそかなり限られますが、お気に入りのイヤホンをカスタムIEM化できるのは嬉しいですね。
純粋なカスタムIEMよりはるかに安いですし。
対応機種の幅が狭い、リモールドをしてくれるメーカーが少ないデメリットもあります。
終わりに
他にもプレーヤーの「イコライザー」を調整する方法あるんですが、これは元の音源にプレーヤー側で味つけしてしまうものです。
音源本来の質感を弄ることにつながるのでボク個人としてはあまりオススメできないんです。
「それでも問題ないよ」って思われるのであれば全然イコライザーを使ってもらっえても問題はないです。
聴いていて心地よく、いい音だと感じるのであればそれが一番です。
これまで紹介した選定のコツとしては、イヤホンの特性や特徴を理解してそれに合わせてケーブルやアンプを選ぶと相性がマッチします。
実際に聴いてみて、相性が良ければしっくりくる音質を体感できますのでベストなバランスを模索してみてください。
オーディオって数値や理論も当然必要にはなるのですが、それだけでは語れない一面もあるんですね。
それが機材同士の相性であったり、リケーブルの音質だったり。
意外なものがあるイヤホンにとっては最高のパフォーマンスを得られ、あるイヤホンにとっては個性を相殺してしまうものであったり。
なのでそれを探していくのもオーディオの深みであり楽しみなので、ぜひ「楽しみながら」見つけていってください。