待ちに待った念願のカスタムIEMがようやく手元に届いた。
長いもので3ヶ月完成を待ったりするなんてざらなので、やっと聴ける瞬間というのは感慨深いものがありますよね。
しかし、いざ装着してみるとなんだかスカスカして耳に収まりが悪い。気のせいかと音楽を再生してみると低音域は抜けたり、しゃかしゃかスカした音が虚しく鳴り響くなんて自体に陥った経験をされた方も多いと思います。
カスタムIEMの音質が云々の前にこういった障壁があったりするので、リフィット送りにならないための原因分析と対策法をお伝えしていきたいと思います。
リフィットって?

そもそもリフィットってなに?と思われる方もるかもしれませんね。
リフィットは完成したカスタムIEMが自分の耳に極端にあわない、もしくは部分的に痛みが出たたりして使用ができない状態の際、もう一度メーカーに再度発送して調整してもらうことを指します。
保証内であれば費用は基本的に無償で受けられますがそれを過ぎると有償扱いになってしまい、機種代金と合わせてとんでもない金額になってしまった。なんて事態になりかねません。
リフィットとなればまたもや2ヶ月や3ヶ月再度待つはめになるので目が当てられませんね。
なぜ完成品が耳に合わないのか?

じゃあなぜ仕上がった完成品であるカスタムIEMが自分の耳に合わないのか分析してみると以下のことが考えられます。
- 耳型の劣化がはじまってしまい、メーカーで加工する時にはすでに縮んでいた。
耳型採取をしたまでは良かったけれど、代理店やメーカーに送るのが遅くなりすぎて耳型自体が劣化して収縮してしまったケースですね。
基本的に採取から2週間以内に送った方がいいようです。
それを過ぎてくると次第に劣化が進んでしまい、緩いカスタムIEMができてしまう要因になりかねてしまいます。
できれば採取後すぐに発送できる状態にしておくと安心ですね。
- メーカー側のミスで耳型加工時に削りすぎてしまっていた
これは一つ一つ手作りで製作される特色上、いたし方ないことかもしれませんが、耳型削り出しの際、削りすぎてしまってそれが原因で完成品が緩いパターン。
何れにせよこちらではどうにもできないので代理店やメーカーと相談して即対応を求めるしかないですね。
完成品が緩い場合の対処法

実際に完成したカスタムIEMが緩い場合は、それがどの程度緩いのかにもよりますが、多少程度であれば耳を傷めない程度の力で立体的に動かしてみると音楽の定位が定まる、本来のベストポジションを見つけることができる場合もあります。
ボクの経験上、片耳が気持ち緩く音が抜けてあまり聴き心地が良くなかった。
それで音楽を流しながらぐりぐり方向を変えていると、ある時最適な位置に収まるポイント見つけたんです。
スカスカにかんじた低音域も芯が宿った力強い音になり、グッと口元も近くなった。
それまではリフィットに出すか相当悩みましたが、このポイントを見つけたことで聴く分には問題がなくなり、そのまま使い続けることができたんです。
動かした最適な位置でも痛みもなかったのが幸いでした。
なのでリフィットするのか悩んでる方で、もし多少程度の緩さであるならこの方法で解決する場合があるので試してみる価値はあります。
もう一つ対処法があって、ComplyからカスタムIEM専用でラップタイプのイヤピースが販売されています。
カスタムIEMのカナル部分に巻くタイプなので、自分で緩いと感じた部分に微調整しながら「緩さ」をコントロールできる。
なのでそれを使ってみるのも一つの手ですね。
それでも、耳に入れたときに痛い、もしくは緩すぎてまともに音楽が聴けないレベルであるなら、そこでリフィットの検討をオススメします。
耳型の採取前が勝負

続いて採取前に原因がある場合ですが
- 耳型採取前に飲酒をした
飲酒を採取前の夜なんかにしてしまうと浮腫が出てしまうんです。
浮腫といえば手足や顔だけではなく、耳の中でも起きてしまうんですね。
浮腫んだ状態で採取してしまえば、その分細く完成品が仕上がることにつながるので装着感が緩いと感じてしまいます。
なので採取前の飲酒は避けたいところですね。
あと、浮腫みでいえば睡眠不足、体調不良や気異音気圧の変化も関係してきます。
塩分の取りすぎも飲酒と同じく浮腫みの原因になるので要注意です。
- 耳掃除を念入りにしてしまった
これをやってしまう方は多いのではいでしょうか。
(ボクも紛れもなくそのうちの一人です。笑)
ついやってしまうんですよね。
耳掃除。
しかも耳型採取の前日に。笑
これはあとから知ったんですけど、耳掃除を念入りにすることで耳の中が炎症を起こしてしまい、腫れてしまうことがあるんですね。
採取前に耳の点検をしますが、赤みが残っていたり傷があると耳型自体が採れないなんてこともあるようです。
耳の中ってかなり繊細ですぐに傷や炎症を起こすんですね。
耳掃除した後やイヤホンを長時間付けた後に耳の中が痒くなったりしませんか?
それは耳の中がかぶれているのが原因だからなんです。
それくらい耳って繊細。
なのでもし気になるようであれば余裕をもって綿棒なんかの柔らかいもので軽く優しく掃除すると耳型採取に影響しないと思います。
- 耳型採取前にイヤホンで音楽聴いていた
これは思わぬ盲点かもしれませんね。
つい癖で移動中にイヤホンで音楽を聴いてしまう。
なにがいけないのかといえば、イヤホンを刺したことで耳の穴が広がるのでそれが耳型採取の原型に影響してしまう。
わずかな広がりでも仕上がったカスタムIEMのフィット感に直結するので採取前はイヤホンなどを使わないことが良質な耳型採取につながると思います。
おススメ採取法

ざーっと、耳型採取起因による原因と対処法をお伝えしましたが、ではどうしたら良好なフィット感を得られるカスタムIEMができるのか。
こちらからできることといえば、とにかく「いい状態の耳型をメーカーに提出する」ことなので、少しでも良い方が採れる採取法をお伝えしていきます。
耳型採取といっても使用用途で採取法が変わってくるんです。
カスタムIEMといえばよくミュージシャンがステージ上で音楽をモニターするために使っていますが、ステージ上で使う事がメインであれば「割り箸」歯で挟んで、その状態で採取すると歌いながらでも痛みがなく使用することができます。
より激しく動くなら「バイトブロック」を使うと外耳道が一番狭くなるので採取時に伝えると対応してくれる、もしくは事前に連絡しておくと安心ですね。
んで。
そうではなく、リスニング用途でフィット感重視であるなら口は完全に閉じた状態、できれば音楽を聴いている姿勢を意識するとより心地いいフィット感と音質が得られる耳型が採れます。
いい耳型を採るコツとして、印象材を耳に入れて柔らかいうちは顎を左右上下に動かして、印象材を入れたときの圧を緩和して、耳に馴染めばより質の高い型が採取できる。
なのでそこを意識すると型採りの段階で失敗するリスクは少なくなると思います。
まとめ
カスタムIEMがリフィットにならないための対策法をまとめると
- 耳型の劣化に気を付ける
- 採取時前の飲酒や体調管理に気を付ける
- 耳掃除に気を付ける
- 採取直前のイヤホンはしないようにする
の4つが耳型採取前に意識するポイントです。
続いて、完成したカスタムIEMが緩い場合。
- 耳を傷めない程度で立体的に動かして最適位置を探ってみる
- Complyから出ている専用のイヤピースを使ってみる
の2つが対処法として考えられます。
完成したカスタムIEMが緩い場合、緩い箇所に専用樹脂などを盛ったり削ったりして調整が可能とメーカーから聞いたことがありすが、精度の問題や料金を考えると新規に耳型を採りなおして送った方が良さそうです。
なので、もしこれからカスタムIEMのオーダーを考えている方がいれば型の採取からフィット感は決まってくるので、今回の記事を参考にしてみて下さい。