SE535をリモールド。カスタムIEM化で得られた音質変化とは?

以前こんな問い合わせをもらいました。

「最近イヤホンをカスタムIEM化する、リモールドというものを知りました。とても気に入っているイヤホンがあります。それをリモールド化したいんですけど、どこでできるでしょうか?またリモールド後の音質変化を知りたいです。」

という問い合わせの内容でした。

リモールド自体はずいぶん昔からあって、ボクもSHUREのSE535をリモールドしたことがあります。

質問者の方がどんなイヤホンを使っているのかが分からないので何とも答えようがないのですが、リモールドは機種自体は限られてきますが今でもできます。

音質変化についても一概にいえませんが、SE535に関してはいい方向に結果が出ています。

リモールドってなに?

そもそもリモールドって何?

って思われている方もいると思うのでお伝えしますが、リモールドとは既製品であるイヤホンの筐体を割って中身のドライバーを取り出し、それをそのままカスタムIEM化するサービスの事です。

リモールド自体はカスタムIEMと比較しても安価で行えるので、カスタムIEM入門としてはかなり敷居が低く、ここから入る方も多い印象ですね。

リモールド化のメリット

メリットとして

  • 安価でカスタムIEMが使えるようになる
  • お気に入りのイヤホンが自分専用機として生まれ変わる
  • 自分の耳型から作っているのでフィット感が良好
  • フィット感が向上したことで詳細な音質傾向が分かる

などです。

最大のメリットを考えてみると、やはり比較的安い価格帯でお気に入りのイヤホンをカスタムIEM化できることだと思います。

どうしてもカスタムIEMを新規でオーダーしようと考えたら相当な出費になってしまう。

初めて、カスタムIEMの世界に入ろうと思ってはいても、そのへんの壁が高くてどうしても踏み込めないって方もいるかもしれません。

カスタムIEMって精密な技術はもとより、一つ一つを手作りで時間をかけて仕上げていくので、その対価として価格帯に関してはどうしても高騰します。

でも、リモールドなら内部のドライバー自体はそのまま流用するし、耳型さえあればそこまでのコストはかかりません。

ボクもカスタムIEMがどうしても気になっていた時期があって一つ欲しかった。

しかし価格という壁が高くて右往左往してたときに、リモールドの存在を知ったんです。

当時で2万円以内でできたと思うんですが、この安さでカスタムIEM化できたのは相当うれしかったのを鮮明に覚えています。

んで。

耳型から作り起こしているので、当然装着感は申し分ないわけで。

遮音性や音の質感はどんなイヤーチップを試しても得られないほどに良好なものです。

それによってこれまで聴いていた印象とはまた違った音質変化もあり、SE535であればモニター系のフラットな音質が楽しめる。

もともとSHUREのイヤホンは低音域に強みを持っていて、それをメーカーは謳っているわけですが、市販品のものを実際に聴いてみるとそこまで低域を強く感じず、あくまでフラットなサウンド傾向です。

あらゆる音源をそつなく鳴らすタイプですね。

それをリモールドすることで、タイトな低音域から「パンチの利いた濃厚な低音域」に変化したんです。

とても上質な低音域で、イヤホンでここまで出せる機種って

「カスタムIEM含めてそんなにないんじゃないかな?」

って感じるくらい、深くてパンチがある低域なんです。

すべてのカスタムIEMを聴いたことがないので断言は口が裂けてもできませんが、最新のSE846とも違う低音域なので面白いです。

ボーカルもより近くて、輪郭がはっきりしている。

それに高域も伸びて気持ちがいいんです。

これは装着感が劇的に向上し、それに伴って変化した結果なんですね。

SE535に関しては、いい意味でかなりの変化と魅力を引き出せたのでリモールド化して正解でした。

今でも使っているくらいなので、この長期的に愛用できる点もメリットとして挙げられると思います。

リモールド化のデメリット

続いてデメリットなんですが

  • 圧倒的にリモールドできる種類が少ない
  • リモールドして「いい音」が得れるているのか情報が少ない
  • リモールドする前の状態だったからこそ得られていた「質感」がなくなる
  • リモールド+ドライバーの追加を選択した場合、音が破綻する可能性がある

が考えられます。

まず、リモールドできる機種が限りなく少ないのがリモールドのデメリットとして浮かんできます。

すべてのイヤホンができるわけでなく、SHUREやUltimate Erasを中心にSONYなどの数社しかできないんです。

それにハウジング形状や材質、BAの搭載数なんかでもリモールドが可能か、その指定が入るので余計に範囲が狭まってしまう。

なので、リモールドをする際は機種をよく確認する必要があるんですね。

そして、リモールドをした後の音質レビューが少なくて判断に迷ってしまうことがあります。

リモールドといえども高価な費用に変わりはないので、出来上がって鳴らしてみた実際の音が良くなければ、その費用が無駄になってしまうことも考えられます。

たまに聞くのが、リモールドによってそれまで長所として存在していた音の良さ、「質感」が失われてしまったということです。

リモールドでフィット感や遮音性は劇的に良くなりますがその反面、それに伴う音質変化も考慮する必要があるんですね。

良いも悪いも、元の「音質的な質感」が変わるのでそこは注意したいところです。

それに付随して、現在では無くなってしまったのか、サービスの質を上げると「リモールド+ドライバーの追加」なんてことができたメーカーがあります。

たとえばSE530の3BAドライバーにアップグレードとして+8ドライバーを追加で選択できたりしましたね。

最大の特徴は超高音域なるドライバーが加わったのですが、全体的の音がボテッとしていて強力なアンプがなければまともに鳴らす事さえできませんでした。

どの帯域をどう表現したいのかよく分からず、元のSE530とも違う破綻した音質になったのでリモールドの失敗談となりました。

リモールドはどこでできるの?

んで。

リモールド自体はとても需要があったのか。

それは定かではないですが、今現在でも少数のメーカーでリモールドを取り扱っているようです。

シンガポールにあるAAWというカスタムIEMメーカーがリモールドを扱っています。

39900円で、4ドライバー以内のイヤホンを。

46900円からドライバー搭載数が5つ以上でカスタムIEM化ができるようです。

ちなみに、SHUREやUltimate Erasなどの機種や指定の範囲内のものしか対応していなようですので、オーダー前にリモールドしたい機種の問い合わせをした方が安心できるかと思います。

ダイナミックドライバや金属筐体、すでにカスタムIEM化したもの非対応となっているのでそのあたりも注意が必要です。

また、イヤホン、ヘッドホンの修理やカスタマイズ、それらを扱っているショップにリモールドを行われているところがあるので調べて依頼をしてみるのもありですね。

終わりに

既製品のイヤホンをリモールドするサービスは思ったほど扱うメーカーが少ない印象ですが、現在でもやろうと思えばできないことはないです。

リモールド対応機種の中で、もしカスタムIEM化したい物があれば挑戦してみるのも全然ありです。

ボクがいまも大事にもっているSHURE SE535も発売当時からかなりの時間が経過していて、その間にそれを超える機種も当然たくさん世に溢れています。

でもね。

それを侮っていると意外な発見があったりするんです。

SE535リモールドの音質って今でも十分すぎるくらい「いい音」でプレイヤー直挿しでもまったく問題ないくらい良質なサウンドを鳴らしてくれる。

抜群の遮音性で低域の押し出しも中高音域の伸びも明瞭。

ヌケ感もよくて気軽にカスタムIEMを使いたいときはこれを選びます。

そんな「リモールド」の良さが、今回の記事で少しでも伝わったのなら幸いです。