FOCAL UTOPIAの気になる音質は?100%の実力を発揮させてみた結果

 ヘッドホンを新調したくて悩んでいたら、ハイエンドスピーカーで有名なFOCAL社の超ド級ヘッドホン「UTOPIA」との衝撃的な出会いをしてはや三年。

今ものなおUTOPIAの右にでるヘッドホンは表れておらず「世界最強」のサウンドを不動のままに奏でているわけなんですが、なんでここまで圧倒的なのか。

レビュー記事なんかを読んでいると、「酷い音」といわれることも見かけたりします。

ハッキリ断言しますが、それは間違いなく「UTOPIA本来の実力を発揮できていない」と感じるんですね。

というのも、UTOPIAはかなり鳴らしにくいという特徴があります。

ヘッドホンの特性上としてはそこまで鳴らしくいわけではないのですが。

UTOPIAの実力をフルに発揮させてる方法と、なぜ鳴らしきれないのかその原因と打開策をお伝えしていこうと思います。

UTOPIAってそんなに音が良いの

ボクの記事では「UTOPIA」をかなり絶賛している印象が強いかもしれませんが、これは別に「FOCALのヘッドホンだから」とヒイキをしてるとかそんなわけではなく、一度UTOPIAを完全に鳴らしてしまうと、その驚異的な破壊力に圧倒されるんです。

正直、これまで世に出回ったヘッドホンでは到底太刀打ちできないレベルだと思わせるほどにです。

新しくでた新製品のヘッドホンに新しく買い替えたとして、これまではぶっちゃけ微々たる程度の音質変化しか得られなかったと思うんです。

もちろん、メーカーごとに音色や外観も個性的に仕上げられて魅力にあふれているのは確かです。

  • メリハリのあるエネルギッシュなサウンドならEdition9
  • 定位と解像度、パワーのバランスの良さならTribute7
  • 包み込むようなホール感とパンチのある低域ならSONOROUS Ⅷ
  • 解像度が高く、原音に忠実なモニター系統のサウンドならMDR-900ST

と具体的な機種名と音質傾向を並べてみました。

実際に使い分けができるくらいに個々の個性的なサウンドは聴いていて楽しいです。

でも、UTOPIAを聴くとそれらでも太刀打ちできない領域の高次元のサウンドを鳴らすんですね。

FOCALはUTOPIAについて「ウルトラ・ニア・フィールド・スピーカー」と呼んでいて、ヘッドホンの域を超えたスピーカーのうような音質を叩き出します。

これまでのヘッドホンは「あくまでヘッドホンを通して聴いている音」と感じざるを得ません。

UTOPIAを鳴らしてみた

で。

そんなUTOPIAなんですが冒頭でもお伝えした通り、実は完全に鳴ら仕切るまでの道のりが正直、紆余屈折の連続でちょっとだけ遠回りしました。

UTOPIAをお持ちの方で音質に納得がいかず、手離してしまったって方も少なからずいると思うのですが、恐らく鳴らす過程でつまずいていたと思うんです。

何となく「UTOPIA本来の音ではないかも?」と薄々感づいていたかもしれませんね。

でも、なかなかうまく音が思うように鳴らず諦めてしまったのかもしれない。

ここで具体的な傾向をまとめてみましたので参考にどうぞ。

DAP直刺し

まずはDAP(デジタルオーディオプレーヤー)直刺しから。

使用機種はWalkman ZX-2です。

高音質プレイヤーのZX-2にUTOPIAを直接ステレオミニプラグでつないでみました。

ご想像の通り、これは全く実力からは程遠いです。

高域がかん高く鳴り響いて、低域の押し出し感や量感も違和感があります。

「ドライバユニットが動いていないのか?」と思うくらいにサウンド的によろしくないです。

いくら最強のUTOPIAでもDAP直刺しで聴くのであれば、相応に鳴ってくれるイヤホンやヘッドホンの方がまだマシですね。

一先ず、DAP直刺しはおススメできません。

ポタアン

続いてポタアンを間に使うとどうなるのか。

使ったアンプはALO AudioのContinental Dual Mono。

(アンプに関して、ボクは基本的に真空管アンプしか使わないのでその辺の偏りはスミマセン)

これを間に入れるとどうなるのか?

結果からいえば、「大した変化を得られない」というのが答えです。

多少、パワフルになったかな?程度の変化なのであまりつないだ意味を感じさせません。

これはすべてのアンプがこうなのかと聞かれたらそういう事ではなく、後述しますが、同じポータブル用途で持運べる真空管アンプの中でも

「完全にUTOPIAを鳴らし切るもの」は存在します。

これは余談なのですが、ALO AudioのContinental Dual Monoに限っては真空管アンプというより半導体とのハイブリッド機で、真空管のプレート電圧は12vと真空管の比率がとても低いんです。

つまり真空管は味付け程度にしか動いていない。

なので、どうしても音が薄く聴こえてしまいます。

半導体オンリーのアンプがどの程度UTOPIAを鳴らすか検証していないので分かりませんが、少なくとも真空管アンプの一部を除いて、ほぼ鳴らし切れないと認識して問題はないですね。

据え置き環境

組み合わせや構成なんかで変化はしますが、据え置きのオーディオ環境までたどり着くと音質は飛躍的に伸びる可能性は増してきます。

そもそもUTOPIAを鳴らし切るのに求められる要素は

「ドライブ力」です。

アンプの強力な駆動力がUTOPIA本来の実力を目覚めさせます。

ですので、アンプのドライブ力が貧弱であれば必然的にUTOPIAのドライバユニットはその能力を発揮できないので、そこで音の厚みなんかが感じられなくなるんです。

どうしたらUTOPIA本来の音質が聴けるの?

で。

どいった音楽環境であればUTOPIA本来のサウンドを楽しめるのか。

ここでボクがUTOPIAを鳴らし切った音楽環境をお伝えしたいと思います。

アンプ

繰り返し書いていますが、ボクは真空管アンプ以外は使わないので、据え置きに関しても真空管アンプになります。

アメリカWOO AUDIOのWA22を日頃愛用しています。

WOO AUDIUOといえば真空管をメインとした、ハイエンド製品を展開しています。

WA22はオール三極菅、A級動作、フルバランスに優れた他に類を見ない純粋な真空管アンプなんですね。

UTOPIAを強力にドライブするうえ、ビンテージ真空管の味わいも繊細に描き出してくれるので一石二鳥という表現がぴったりですね。

ちなみに、ポータブル用途でも同社のWA8というアンプを使っています。

回路構成なんかは整流管のないWA22といったイメージでそのサウンドは驚異的です。

もちろん、WalkmanとWA8をつなぐだけでUTOPIAをフルに鳴らし切ります。

DAC

WA22単体では音は鳴らせないのでデジタルからアナログに変換する良質なDACが必要になるわけですが、ボクが選んだのはアメリカWYRED 4 SOUNDの「DAC-2V2SE」です。

WYRED 4 SOUND自体は聞き馴染みのないメーカだと思うのですが、音作りに対する姿勢が凄まじく、「ここまでコストをかけるのか」と思わずうなってしまうくらい徹底的に作りこまれた内部構造に感動します。

WA22は真空管アンプなのでディスクリート構成ですが、DAC-2V2SEに関してもディスクリート構成なので相性自体もとてもいい。

巨大なトロイダルトランス、電解コンデンサー群、そして、左右の4chすべて独立電源なんですね。

ピラミッド型のどっしりとしたパワフルなサウンド、厚みのあるアナログライクなサウンドをUTOPIAにもたらします。

プレイヤー

音の入り口もWYRED 4 SOUNDで統一しています。

使用機材は「MS Music Server」という、いわゆるNAS(Network Attached Storage)ですね。

この機材の最大の魅力が、先述のDAC-2V2SEとI²S接続ができるという点です。

I²S接続を簡単にいうと、たとえばUSB接続なんかをして音の信号をやり取りすると、DACに信号が到達するまでの間に、いろんな変換処理を行っているんですね。

変換処理があれば、それだけ音源の鮮度が落ちるわけで。

I²S接続とはそんな余計な処理をすっ飛ばして、DACまで信号を届ける接続法なんです。

なので余計な変換処理をしていないので、音楽データの鮮度はかなり高く、より生々しいリアルなサウンドが楽しめます。

これがあるのとないのではかなりの違いがあって、「ヘッドホンの存在が消えた!? 未知の音楽体験」で書きましたが、実はこの体験の秘密はこの「MS Music Server」にあったんです。

ケーブル

UTOPIAの音質に欠かせないリケーブル。

ボクも結構いろんなケーブルを入れ替えては試してみました。

PCOCCと銀メッキ線の32本編み、インシュレーター付き純銀線ケーブル、8本編み単線ケーブルなど。

バランス的には32本編みが丁度よく、純銀線は高域の伸びと音の抜け感が良い、単線ケーブルにいたっては32本編み級のサウンドでした。(取り回し壊滅的でしたが…)

現在使っているのがこれらをすべて凌駕してしまう4N純銀線と金メッキ線による16本編みケーブルです。

音の解像度、定位、音場、鋭い低音域が一聴してすぐ気づくほどの変化を体感できます。

リケーブル程度だと正直、音質変化って微々たるものなんですが、このケーブルは別格ですね。

電源

そして最後は電源。

これがかなり重要なんです。

電源。

UTOPIAの根底的なパワフルさだったり音の厚みだったりは、各機材に正確な電圧をかけてこそ、完璧なパフォーマンスを発揮します。

なので、電源は是が非でもこだわりたい部分です。

ボクは大元の電源管理に「CSE TX-2000」を使っています。

これで安定的でクリーンな電圧を実現できる。

真空管アンプだけはより正確で適正な電圧にするために、スライダックトランスでアンプを使用する度に毎回微調整しています。

機材がどんなに良くても電源が悪いと、機材のパフォーマンスに影響を及ぼすのでこだわりたい部分ですね。

終わりに

ボクの使用環境を織り交ぜながらUTOPIAを完全駆動させるための方法をお伝えしていきました。

試行錯誤してようやくたどり着いたわけなんですが、ここまでやってUTOPIA本来の音が聴けたんですね。

はじめてUTOPIAのサウンドを聴いた時はこんなに機材なんかも詰めていなかったし、音的にも「こんなものか」で止まっていました。

けれど、リケーブルをして、環境を整え、電源を見直したときに、まるで出てきた音に対する印象や感動が違っていたんです。

もちろん、これ以外に構築できる別の環境も多種多様にあると思います。

それに高価な機材をそろえればいいという問題でもない。

機材同士のトータルバランスも大きく関係してきます。

一つ一つ、見直すポイントを変えてみて、ベストバランスを探してみてくださいね。

なので、もしUTOPIAの音質に不満があって改善を考えている方がいれば、今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。