真空管マニアが語る5つの選別法。その理由と見分け方とは。

以前、こんな問い合わせをもらいました。

「真空管を買いたいのですが、新品なのか中古なのかわかりません。一応、箱には入っています。見分け方があれば教えてください。」

なるほど。

生産がとっくの昔に終了している真空管は、はっきり言って見たままの外観だけでは区別できないんですよね。

ましてや元箱に入っていたりすると尚更。

ボクも真空管にハマりたての頃は、製造メーカーの名前くらいは分かっていても、新品か中古か、または既に寿命が尽きた真空管なのか判別ができませんでした。

なので欲しい球を見つけたら、まさに見えるものだけで飛びついていた。そんな時期がありました。
おかげで内部特性や寿命のバランスが悪い真空管を何本も手にして、その度に痛い思いを幾度も経験しています。

今回は、そんな寿命の尽きた真空管を掴むことなく、状態の良いものを選ぶその方法についてお伝えしようと思います。

新品か中古をどうやって見分ける?

じゃあどうやって見分けていくかというと、ボクが真空管を入手するときは以下のポイントに気を付けています。

  1. 真空管販売ページに(NOS)と記載されているか
  2. 球の状態をしっかり画像で確認する
  3. 元箱が付いているか確認
  4. 商品説明欄などに記載されている数値の確認
  5. チューブ・テスターで測定しているショップで買う

この辺を意識せず、目に入ったものだけでダイブしてしまうと高確率で使えない真空管を手にしてしまう事態になります。

あるいは、ロゴだけかえたようなニセモノ球を掴む場合もありますね。

ごく稀に写真とも説明書きとも全く違うような球に当たった時は参りましたが…。

なので、掲載されている画像や文をよく見て判断する必要があるんですね。

真空管販売ページに(NOS)と記載されているか

NOS(ニュー・オールド・ストック)って聞いた事ありますか?

真空管の状態を表すときによく使われる文字なんですが、いわゆる新古品ですね。

新品のまま、その当時から長い時を経て日の目を見るわけなんですが、基本的に「NOS」と商品タイトルや詳細ページに書いてあれば安心度は増すと思います。

風化はしてるけど内部は新品、管内異物も少ないことが多い。

真空管の知識がなくてもこのNOSを優先して選んでいくとあたり球の確率は割と高めです。

球の状態をしっかり画像で確認する

んで、

普段、服を買ったり欲しい商品を買うときは、よく実物を見てから購入するかを決めると思います。
服ならサイズは合うのか、形や色はどうなのか。

できれば実際に試着をしてみて、本当に自分に合うのかが分かります。

これはネットで真空管を購入する場合も同じで。

特に真空管は、球の詳細な情報を画像や写真でよく精査する必要があります。

NOSと記載はしてるけど、真空管のガイドピンが折れていたり、ガラス部分にヒビが入っていたり。
あるいは、ゲッター幕が著しく薄かったり、最悪の場合はゲッター部分が真っ白になっていてすでに使用不能な真空管もあったりします。

もっと悪質になれば、違うメーカーの真空管とラベルをすり替えて販売しているケースもあります。

有名なとこだと、「Western Electric」の真空管はいわゆるニセモノが溢れ返っっていたりします。
整流管274Bなら年式と内部構造が一致しないもの、明らかに別メーカーの真空管に本家のソケット部分だけ入れ替えたようなものも存在します。

なので画像や写真など、可能な限りの視覚として見える情報をくまなく見渡して、状態をしっかり見極める必要があるんですね。

もし商品ページに画像がなかったり、他人の画像を引用している販売主なら直接問い合わせて「真空管の詳細な写真を見せてほしい」と連絡して確認した方が最善です。

話がそれましたが、新品か中古かの区別であれば、とにかく与えられた情報を「よく見る」ことが大切になってきます。

元箱が付いているか確認

元箱の有り無しも、真空管の状態を知る目安の一つ。

NOSとあっても元箱がなければ本当に新品なのかよく分かりません。

確かに軍用管なんかで、軍にまとめて納める為にいわゆる「軍箱」として大量に納品された真空管もあります。

一つの箱に大量に真空管を詰めるので、個々に元箱はありません。

なのでそういった真空管は、確かに新品なのか中古なのか。
見た印象からは判別が難しいです。

しかし、元箱に入っているものはだいたい新品のままの状態が多くみられるので、選ぶのであれば優先すべきチェックポイントではあります。

商品説明欄などに記載されている数値の確認

ここから真空管が新品なのか中古品なのか。
それを見極める上で最も要重視する項目に入ります。

それが、真空管の状態を示す「測定値」です。

真空管は無限に使えるものではなく、いつか寿命が尽きて終わりを迎えるものです。
電球とかと一緒ですね。(寿命は真空管の方が圧倒的に長いですが。)

しかも、同一のメーカーと型番であっても個体としては、特性に微妙な違いがあるんです。

測定値は真空管の内部特性を示したものなんですが、これを気にする、しないかで後に得られる音にも大きな影響をもたらします。

優良なショップや個人の出品者であれば簡易的にでも測定して、販売前や出品直前の状態を数値として記載してくれるので、ここを参考にしたいですね。

内部電流のリーク等を測定したショート検査や、50/47などの簡易的なGm値測定結果を載せてくれている場合があります。

左右の数値が近いほうが当然内部のバランスは良いので、極端に数値が離れている球や、そういった測定や検査をしていない真空管は買わないようにしたいですね。

チューブ・テスターで測定しているショップで買う

  • しっかりしたチューブ・テスターで測定したショップで買う

これが一番、安心安全かつ、真空管の状態を数値として把握できます。

なので専用の測定器で検査・測定しているお店、あるいは個人のショップを利用するのがベストです。

ボクも以前は訳も分からず、気に入ったメーカーのビンテージ真空管をひたすら買い漁っていましたが、内部の特性がひどく悪かったり、内部で電流がリークしいたものを知らずに使ってしまい、アンプやヘッドホンを壊した経験があるんです。

もちろん、壊れた機材の修理やハズレ球を購入した金額もそれ相応なものだったのでかなり手痛い失敗でしたね。

なので真空管を何の知識もなく買うという事は、こういったリスクと常に隣り合わせです。

NOSと書いてあって元箱も付いている。

「これは明らかに新品球だろう」と思って購入したらそれがハズレ球だった。
なんてこともざらにあります。

新品、中古の選定に限らず、こういった目には見えづらいところを細かく判定してくれるショップを選んで、安心して真空管の音色を楽しみたいですね。

まとめ

ボクはメインとしてポータブルから据え置きまで一貫で「真空管アンプ」を使っているわけなんですが、毎日のように真空管のショップだったり、オークションサイトを使ってレア球がないか探しています。

購入の頻度も高いですが、その際の判断材料としては今回お伝えしてきたような5つの項目を意識して選んでいます。

まぁ、真空管って作られてからかなり時間が経っているので、そこまで深く理解した人が少ないのも事実。

情報を鵜呑みにして買っても、実際は違ったなんてこともよくあることです。

そこで「それなら自分で測定してしまえばいい」と思い立ち、今では真空管最盛期から存在する「Hickok」と現代のデジタルチューブテスター「AT1000」の両刀を駆使し、入手した球の選別、ペア決めをしています。

新品なのか中古なのか、その良否判定と詳細な数値も手に取るように把握できるんです。
これで真空管を買うときに付きまとう、不安やストレスからは解放されました。

普通、なかなかそこまでしないと思います。

なのでぜひ、今回お伝えしたことを少しでも思い返していただいて、真空管を選別、購入のお役に少しでも立てればと思います。